2013年05月19日

総合商社の機能と組織 (25)

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 オーガナイザー機能

 “国内外のネットワークを活用し、最強チームで巨大プロジェクトに挑む”

 ◎ 自社にない能力や技術が必要なとき、それを持つ企業を集める組織化の能力が 「オーガナイザー機能」
 ◎ 国内外の企業や政府要人と築き上げた人脈を商社は活用している。

  “他から優れた機能を集めて活用”

  これまでは商社の持つ優れた機能を紹介してきたが、商社は自らが持っていない能力や技術が必要な場合、そうした能力を持つ企業を集めて最強チームを結成することができる。

 この組織力の能力が商社機能のひとつである 「オーガナイザー機能」 だ。商社には、国内外のネットワーク、グループ会社があり、グローバルな取引先を数多く持ち、世界各国で政府の要人や有力企業のトップなどとコネクションを持っている。

 このように張り巡らされたグローバルな拠点及び人的ネットワークを活用して、ビジネスチャンスを嗅ぎ分け、チャンスとみるや、各分野で競争力のあるパートナーを見つけてきて迅速にプロジェクトを組成して、収益にむすびつける力を持つのである。

 たとえば、特定の発展途上国で大型プロジェクトに参画する場合、商社は特定分野で技術競争力のあるプラントメーカーや海外の有力メーカー、現地の有力企業、生産物の購買先企業、資機材納入メーカーなどとコンソーシアムを結成、さらに国内外の銀行と主要国の制度金融を活用したプロジェクトファイナンスを組み合わせて、リスクの分散による円滑なプロジェクトの成功をめざす。

 有力メーカーを担いだプロジェクトへの取り組みは商社の十八番であり、プラントビジネス、エネルギー、金属資源開発、インフラ開発 (港湾、橋梁、ダム他) など、対象分野は広い。

 “さまざまなパートナーと手を結ぶ”

  プロジェクトが巨大であまりにリスクが大きい場合は台湾新幹線のように複数の商社で参画するケースもあり、有望な国家プロジェクトのような入札案件は、パートナーの優位性や開発後の生産物の販路確保などが決め手となるようだ。

 最近は、ナノテクやバイオなどの新技術分野で、政府や大学、メーカーの研究機関が産学官のコンソーシアムを組んで研究を進めるケースが多く、やはりここでも商社が音頭を取っていくケースが目立つ。

 コンソーシアムを扇子にたとえれば、商社は扇の要のような役割を担っている。コンソーシアムをただ組成するだけでなく、その後のプロジェクト推進における調整役、すなわちコーディネーター役を商社は果たしているからだ。

 コーディネーター機能とは、金融機能や物流機能、資材調達のソリューション機能、現地法律家の起用などのリスクマネジメント機能などの提供である。

 ( 引用: 最新 業界の常識  よくわかる商社 ) 


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2013年04月28日

総合商社の機能と組織 (24)

 事業経営機能

 IT、金融機能、物流機能、経営支援機能などのトータルパッケージ

 ◎ 人材育成の一環として出向した商社マンが、商社のバックアップを受けて事業会社の業績拡大に貢献。

 ◎ 職能子会社が事業会社のバックオフィスとして機能する。

 “事業経営力を高めた商社”

 商社がこの数年、連結業績で過去最高益を更新している大きな要素のひとつに、グループ会社の業績拡大が挙げられる。

 出資比率に応じて、子会社は連結収益で、持分法適用会社は持分法投資損益で、一般事業投資先は配当金でそれぞれ収益に貢献しており、株価が高くなった投資先などは株式を売却し、その利益 (キャピタルゲイン) により、やはり連結収益に貢献している。

 これまで説明したとおり、商社のビジネスモデルは、従来のトレードを主体としたビジネスから、事業投資をしてそこから上がる収益を拡大し、連結収益を増やすタイプに転換した。

 事業会社の業績拡大は、バリューチェーンをネットワークでつなぐIT、安定的に資金を供給する金融機能、SCMや3PLにより効率的な原材料納入や製品のデリバリーを行なう物流機能、経営を支援するコンサルティング機能、経営のスキルを持つ人材の派遣など、商社の総合力を融合した 「事業経営機能」 をトータルパッケージで提供していることが、その要因となっている。

“経営者に変身した商社マン”

 商社マンは、かつては世界を駆け回る貿易マンであったが、最近は事業会社の経営者に変身しつつある。

 人材育成では、昇格の条件として複数の部署を経験させるキャリア・デベロップメント・プログラム (CDP) というものがあるが、最近はこの一環として事業会社に出向するケースも多い。
 
 このため、出向はかつてのような、ポストをはずれたあとの中高年社員が送り込まれる制度といった暗いイメージはなく、むしろ出向先の経営を立て直したり、業績を拡大させて評価を高めるチャンスと受け止めるケースも多いようだ。

 また、商社では経営者の育成に積極的で、関係会社への出向者に対して全社レベルでの各種研修、営業部門 (グループ) レベルでの各種研修を活発に実施しており、出向先の業績が拡大すれば自分の処遇も連動して拡大するインセンティブ制度を導入しているところもある。

 “子会社がバックオフィスとなり支援”

 経営支援機能には、コンサルティング機能の提供以外に、職能子会社による経営支援がある。

 職能子会社とは、グループ向けの融資を行なう金融子会社、経理や総務のアウトソーシング会社、人材派遣会社などで、こうした職能サービス子会社群がまとめてグループ会社のバックオフィス的な機能を請け負っている。

 規模の小さい成長途上の事業会社などは、経理、総務、人事などの業務がコスト負担となるため、職能子会社がアウトソーシング業務を請け負うことで、関係会社は営業など本業に専念できるというわけだ。

 ( 引用: よくわかる商社 ) 


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2012年10月20日

総合商社の機能と組織  (22)

 
 情報技術機能 − 本社で培ったノウハウを武器に外部にビジネスを展開

◎ コーポレート部門のシステム部隊を分社化したITソリューション会社が続々誕生。

◎ 金融機能や物流機能など商社の多機能とのシナジーを発揮

 ITブームの到来と商社のIT 

 ITの技術革新は商取引の効率化を促しただけではなく、ネット決済などでの金融機能の高度化、サプライチェーンマネジメント ( SCM ) や3PLなど物流ソリューションへの対応を可能とし、商社の物流機能 ( LT ) を高め、金融機能 ( FT ) の技術力も高めた。

 商社でこのITを担当するのは、コーポレート部門に属するシステム構築担当組織と、営業サイドの情報産業部門の2つがある。

 中核会社となるITソリューション会社には、CTC 伊藤忠テクノソリューションズ、三井情報、住商情報システム、丸紅情報システムズなどが挙げられるが、これらはコーポレート部門のシステム部隊を分社化したところが多く、それぞれが得意分野を切り開き発展してきた。

 三井物産を例にとると、東証上場の三井情報は、主要取引先が親会社の三井物産であるため、コーポレート部門のシステム部隊に属していた。

しかし、本体に種々の業務関連アプリケーションを実行する基幹統合システム ( ERP: Enterprise Resource Planning ) が導入されると、主管が情報産業本部に移り、本体のERP導入で培ったノウハウを武器に、外部にビジネスを展開していった。  

 ITを武器に商取引を効率化

 商社は中核会社や本体で培ったノウハウをもとに、他の営業部門、客先、グループ企業向けに、ネットワークシステム構築のネットワークインテグレーション ( NI ) やコンピュータシステム構築のシステムインテグレーション ( SI ) などのITソリューション機能を提供、仕向先のネットワークの効率化を図ってきた。

 ITブームが去っても、ITによる物流の効率化の動きは衰えず、金融機能や物流機能などの他の商社機能とシナジーを発揮して活発に活動してきた。

 その好例がSCM ( サプライ・チェーン・マネジメント ) や3PL ( サード・パーティ・ロジスティックス ) である。

 繊維取引ではSPA ( 製造小売 ) 向けに材料の調達 → 縫製 → 生産地からの輸送 → 通関・保管業務 → 各店舗への小分け梱包と配送までを行うが、ITが商品管理、物流管理で果たす役割は大きい。

 ITで新しい分野を切り開く 

 ITによるビジネスの可能性の拡大は既存ビジネスに限らず、バイオやナノの分野にも波及している。バイオなどではITの革新によりゲノム ( 遺伝子 ) 解読が可能になったことで、バイオインフォマティックス ( 生命情報科学 ) 分野という新たな領域を切り開くことができた。

 商社はITそのもので稼ぐことはもちろん、既存ビジネスへのIT導入による業態変革によってビジネスチャンスを獲得したり、バイオやナノなどの新技術分野にITを活用して新ビジネスを創造するなど、大いにITを駆使している。

 今後もこの分野が重要であることに変わりはないのであろう。

 ( 引用: よくわかる商社 )





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2012年10月14日

総合商社の機能と組織 (21)

 物流機能とネットワーク 

 国際複合一貫輸送会社を中核に物流ソリューションにも対応

 ◎ 全世界に物流会社のネットワークを張り巡らせており、これらを結ぶことで物流ニーズに対応している。

 ◎ 集荷から海外現地での配送まで、各段階の事業会社が連携プレイ。

 ◎ ドア・ツー・ドアのサービスを提供

 商社は貿易取引を本業としてきただけに、ぼう大な量の貨物を扱ってきたため、物流サービスのノウハウが蓄積され、国内外で各種物流サービス事業群による物流ネットワークの拡充を進めてきた。

 具体的には、輸送業務 ( 陸上、海上、航空 )、倉庫業務、通関業務、輸出入管理業務、国際複合一貫輸送を通じて、ドア・ツー・ドアの物流サービスを提供している。

 この体制による物流の経路をみると、まず国際複合一貫輸送会社 ( NVOCC ) が国内の荷主に対して最適なドア・ツー・ドアの物流経路の手配を行い、それを受けて国内で輸送会社が集荷、倉庫会社で製品の梱包・保管・内容検査等を行う。

 さらに輸出通関・海上輸送・仕向国での輸入通関を経て、現地の倉庫会社で開梱・保管・小分けし、現地の輸送会社が仕向け先まで輸送する。

 商社は、国内に輸送会社、倉庫会社、海外の主要国に倉庫やストックヤード、トラックを有する物流事業会社を展開し、これらの網の目のような物流拠点から関係会社のNVOCCが最適な経路を選択してつなぐ。

 なお、NVOCCは “ Non Vessel Operating Common Carrier “ の略で、倉庫やトラックなどのハードを持たない物流事業者という意味だが、商社の中核物流会社はNVOCCの資格を有する総合事業会社の場合が多い。

 一方で、海外の物流事業会社群は現地に倉庫やトラックなどのハードを保有するところが目立つ。ハードを持つ物流会社は中国やアジアなどに多く、主に日系の現地進出企業向けに高度な物流機能を提供している。

これらの地域は物流インフラが未整備なため、商社の高度な物流サービスへの需要が旺盛である。

 一連の物流機能は、ITの技術革新を背景にさらに高度化、顧客への適時適量納入など物流ソリューションのニーズにも対応できるようになり、物流機能の収益性への期待が高まったことから、金融部門と同様に最近、各社で相次いで営業組織化している。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

  国際複合一貫輸送

 < 陸上輸送 >  荷主 → 集荷 → 輸送 → 梱包・保管輸出通関 →
 ( 国内ネットワーク ) 

 < 海上輸送 > → 開梱・保管、輸入通関 → 輸送 → 配送 → 仕向先
 ( 海外ネットワーク ) 

( 引用: よくわかる商社 ) 


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2012年09月24日

総合商社の機能と組織 (20)

 金融機能 

 資金調達、与信供与に加え資産運用やバランスシート管理機能が発展
 
 ◎ 商社の金融機能は財務部においてノウハウが蓄積されてきた。
 ◎ 従来は営業の支援に当たっていたが、金融技術を磨き、財務部の一部は営業組織となった。

 商社金融から高度化した金融機能 

 商社の金融機能 ( FT : Financial Technology ) は、情報技術 ( Information Technology )、物流機能 ( LT: Logistics Technology ) とともに、中核的機能の一つと目されている。

 商社の金融機能のノウハウは、財務部を中心に蓄積されてきた。その主要な機能は @ 資金調達、 A与信供与、 B資産運用、 Cバランスシートの管理、 などに大別される。

 これらの金融部門は本社及び営業部門向けの機能提供が中心であったため、コーポレート部門に属していたが、その一部は相次いで営業化された。

 これは資産運用の業務が金融ビッグバンやITの革新を背景に、運用手法の向上、投資対象の多様化、ファンドや流動化ビジネスなど新しい形態のビジネスの登場等々で、主体的に収益を生み出すことが期待されているからだ。

 @ の資金調達は、本体の調達が主要業務であるため、コーポレート部門の財務部に残されている。融資関連業務ではほかに、プラント関連の大型プロジェクトで日本や他の先進国の開発援助等を目的に低金利で国が貸し出す制度金融を活用したプロジェクトファイナンスの組成など高度な金融技術を持っている。
 
 A の与信供与は、いわゆる “商社金融” と言われる部分で、取引先に対して融資、保証、延べ払い取引、手形取引等の信用を供与する取引である。

 商社は銀行から多額の資金を調達し、取引先企業へ融資や保証などの与信を供与することで企業の育成・成長に重要な役割を果たしてきた。

 最近は連結経営の強化を目的に、グループ企業向けなどにファイナンス機能を提供する子会社などが競争優位性のある低金利の安定資金を供給する動きがある。

 資産運用にも追い風が

 B の資産運用では、従来は貿易取引における為替変動のリスクを低減させるために為替先物取引を行っていたが、やがて為替ディーリングや株式、債券などの有価証券の売買で、運用益を狙うようになった。
 
 バブル経済時代には特定金銭信託やファンドトラストを設定して、株式運用に狂奔したが、バブル崩壊とともに、資産運用が社内でも目の敵とされるようになった。

 しかし、高度な運用技術を用いたファンドやプライベートエクイティ ( 未公開株式 ) 投資など、海外現地法人などを通じて欧米の進んだ運用技術や金融商品を国内に紹介する金融事業に注目が集まり、さらにはITとの融合によるネット証券、ネット決済事業などを新設する動きも活発化、金融ビッグバンなどの規制緩和も追い風となり、この担当組織の営業化が進んだ。

 C のバランスシートの管理は、財務体質の健全性を確保する機能であり、財務部は経理部とともに注力している。昨今は株主資本の充実や有利子負債の削減などを進める重要な役割を担ってきたが、各社とも大幅に財務体質を改善しているのは周知のとおりだ。

 ( つづく )

  ( 引用: よくわかる商社 ) 


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2012年08月05日

総合商社の機能と組織 (18)

 海外ネットワークと広域統括体制
 主要市場には総支配人を置いて現地で統括

 ◎ 米・欧・アジア、中国などは総支配人制、アフリカや中近東は本社直轄

 ◎ 米・欧などでは、商品部門ごとの広域展開を行う動きも。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 主要市場における広域運営体制

 商社は世界各国にくまなく現地法人、支店、駐在員事務所、出張所など種々の形態の拠点を展開しており、その数は2009年で三菱商事が200カ所、三井物産が141カ所にも及ぶ。

 このうち、米州、欧州、アジア、中国などの主要市場は、各社にとって収益的にも重要で、かつ地理的にも広大な地域であるが、グローバルな競争も激しい。このため、いちいち重要事項の決済を東京本社に仰いでいたのでは、ライバル会社に先を越される可能性がある。

 そこでこれらの重要な地域の拠点をなるべく現場に近いところで統括するのが広域経営体制だ。各地域の広域統括責任者の呼び方はさまざまだが、総支配人と呼ぶ会社が比較的多い。

 これは部門ごとに経営する手法を主要市場にも取り入れたもので、社長が部門長に権限を委譲して、現場に近いところで迅速な意思決定を行うのと同様に、総支配人がかなりの権限を有して傘下の現地法人や支店を統括し、地域での即断即決を行い、地場密着型の経営を行っている。

 総支配人の格は、地域の重要度に応じて異なり、たとえば米州総支配人は副社長クラス、欧州支配人は専務クラスなどさまざまだが、役員の役職からその地域の位置づけが部門クラスなのか、本部クラスなのかを大体うかがうことができる。

 一方、アフリカや中近東は、本社直轄で対応している。

  部門経営を広域で展開 

 米州や欧州など、市場の成熟した地域においては、機械部門、化学品部門などの部門経営を広域で展開するのが最近の流れだ。米州の機械部門は米国を起点にカナダからメキシコ、ブラジルもカバーし、域内の部材調達や完成品の域内販売を行う。

 まさにFTAなどのボーダレス化の動きにふさわしく、欧州では各国の現地法人を廃止し、欧州法人の支店に改めたところさえある。

 一方、中国やアジアなどの成長過程の地域ではまだ、部門のタテ展開は進んでいないが、双日など一部の商社では、それらの地域でも部門制による広域展開を開始している。

 大手商社の広域統括責任者の呼称 

 米州 − 米州総支配人 ( 住友商事、双日 ) 
      北米統括   ( 三菱商事 )
      米州本部 ( 三井物産 )    
      米州支配人 ( 丸紅 )

 欧州 − 欧州総支配人 ( 住友商事、伊藤忠商事 )
      欧亜中東CIS統括 ( 三菱商事 )
      欧亜支配人 ( 丸紅 )

 アジア − アジア・大洋州統括 ( 三菱商事 )
       アジア・大洋州本部 ( 三井物産 )  
       アジア総支配人 ( 伊藤忠商事、住友商事 )

 中国  − 中国総代表 ( 三菱商事、三井物産、住商、伊藤忠、丸紅、双日 )

  ( 引用: よくわかる商社 ) 


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2012年06月25日

総合商社の機能と組織 (17)

 商社のグループ経営 − 関係会社の管理体制を構築

 ● 商社は資産を効率良く使用するために、事業会社を区分し管理してきた。

 ● 今では収益力の高い事業会社を擁す企業グループを形成している。

 関連会社を4つの区分に分けて管理

 連結経営への移行を前に、商社は1990年代より不振会社の取捨選択と中核会社の強化育成のため、関係会社の管理制度を強化・充実させた。

 関係会社は

 @ 子会社もしくは収益への影響の大きい会社
 A 経営への影響の小さい会社
 B 本体の定型業務を担い利益を追求しない会社であるコストセンター
 C 船舶などのSPC ( 船舶などを保有する目的のために設立されたペーパーカンパニー / 特定目的会社 ) 

 などに区分され、主に @ に該当する関係会社が選別の対象となった。

 具体的には期待収益率、財務体質、将来性などから細かく格付けされ、下位ランクの会社から3期連続赤字や債務超過等の収益・財務状況などで撤退 ( エグジット ) の対象先があぶり出された。

 各社とも統廃合の対象となる会社数と期限を定め着実に実行したことが、今日の史上最高益につながった。ちなみに90年代後半に各社が目標に基づいて削減を進めた時期に、三井物産は目標を定めなかった。

 関係各社損益で三菱商事との格差が広がり、当期純利益において見劣りする主因となった。

 大手商社の主な高収益会社
         主な事業内容               持ち分利益(億円) 2008年
 三菱商事
 Mitsubishi Development (豪) 石炭採掘販売     1917
Iron Ore Company of Canada (加) 鉄鉱石生産販売事業  145
ジェコ                チリ銅鉱山の投資会社 140
メタルワン              鉄鉱石販売事業    133

 三井物産
 Mitsui Iron Ore Development (豪) 鉄鉱石の採掘販売 805
 Valepar         (ブラジル)  資源事業への投資 292
 Mitsui Coal Holdings (加)   豪州石炭関連事業 287
Mitsui E&P Australia (豪)  石油・天然ガスの開発 226

住友商事
 Apex Silver Finance      鉱山に関するヘッジ取引 221
Sumisho Coal Australia 豪州石炭事業への投資  212
ジュピターテレコム            CATV統括会社      78
SCメディアコム              TV通販事業への投資   66

 伊藤忠商事
 Itochu Minerals & Energy of Australia
                (豪)   資源関連事業投資    712
Itochu Oil Exploration (アゼルバイジャン) 石油・天然ガスの開発販売 261
伊藤忠丸紅鉄鋼              鉄鋼製品販売      148

丸紅
 Marubeni LNG International カタールのLNGプロジェクト投資 180
Marubeni Coal (豪)  豪州石炭事業投資     161
伊藤忠丸紅鉄鋼              鉄鋼製品販売      148

(つづく)

 引用: よくわかる商社
 


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2011年10月25日

総合商社の機能と組織 (16)

 ● 職能部門から営業部門に変わった金融・物流部門を加え、おおむね10の部門がある。

 ● 三菱商事や三井物産は新しい形態の組織となっている。

 商社の代表的な営業部門と事業領域

 大手商社の営業部門はこれまで、代表的なところで金属、機械、情報産業、化学品、エネルギー、食料、繊維、物資、建設・不動産の9つの部門に分けられたが、各社とも金融・物流を営業組織化したため現在は10部門ということになる。

 各部門を本部クラスで分類し、さらにそれらの取扱商品や事業領域をまとめたのが下記の表である。

 組織のくくりは、各社の強弱に応じて相乗効果が発揮できる部門でまとめられており、市況などに応じて柔軟に改編してきたので各社各様である。

 たとえば、金融部門で表のようなフルラインが揃っているのは三井物産のみで、三菱商事は鉄鋼商品をメタルワンに分社化し、住友商事は鉄鋼原料をエネルギー部門と統合して資源エネルギー事業部門とした。

 また、食料部門と繊維部門は、生活産業部門にひとくくりにしているところが多い。

 このほか、三菱商事の新機能事業グループや三井物産のコンシューマーサービス事業本部やライフスタイル事業本部など新しい形態の組織も誕生しており、各社とも効率的な組織体制の構築に余念がない。

 商社の営業部門のモデルケース

 《 部門 》 《 本部 》 《 取扱商品・事業領域 》

 【 金属 】 − [ 鉄鋼原料 ] − 原料炭、鉄鉱石等
   
          [ 鉄鋼製品 ] − 薄板、厚板、鋼管、建材等

          [ 非鉄金属 ] − アルミ地金、銅地金、非鉄製品

 【 機械 】 − [ プラント ] − 電力、化学、通信の各種プラント

          [ 自動車 ]  − 自動車完成品・部品の輸出、輸入卸事業、ディーラー事業

          [ 船舶  ]  − 新造船の販売、中古船の仲介、傭船業務、舶用機械

          [ 航空機 ]  − 輸入代理店、航空機リース、防衛庁向け輸入取引

          [ 建設機械 ] − 建設機械の輸出、卸事業、ディーラー事業

          [ 電力プロジェクト ] − EPC, IPP ( 独立系発電事業者 ) 

          [ 交通プロジェクト ] − 鉄道交通システム、レールなど

 【 情報産業 】 [ メディア事業 ] − 映画制作投資、番組供給事業、CATV事業、
                      コンテンツビジネス等、
          [ ネットワーク事業 ] − ネットワークインテグレーション、
                        携帯電話販売事業等

          [ エレクトロニクス関連事業 ] − 半導体関連、電子部品等

          [ ITソリューション事業 ] − システムインテグレーション等

 【 化学品 】  [ 有機化学品 ] − 石油化学品、合成原料、化成品等

          [ 精密化学品 ] − 農薬、医薬品等
               
          [ 無機化学品 ] − 硫黄、硫酸、工業塩、苛性ソーダ等

          [ 合成樹脂 ]  − 塩化ビニール、合成樹脂成形品等

          [ 高機能素材 ] − 電子材料等

 【 エネルギー 】 [ エネルギー ] − 原油、石油製品、LNG、LPG、一般炭

 【 食料 】   [ 食料 ]    − 穀物、油脂、砂糖、飼料等

          [ 食品 ]    − 水産物、青果等、加工食品等

 【 繊維 】   [ 繊維 ]    − 繊維原料、織物、衣料品、ブランドビジネス、
                     SPA向け取引

 【 物資 】   [ 紙パルプ ]  − チップ、パルプ、洋紙、厚板、古紙等

          [ 木材・建材 ] − 北洋材、なん用材、合板、住宅用建材等

          [ セメント ]  − セメント、生コン等

          [ 物資 ]    − タバコ、スポーツ用品、ゴム、タイヤ、履物等

 【 建設・不動産 】   [ 建設・不動産 ] − マンション販売、戸建分譲、
                     商業施設開発・運営、賃貸事業等

 【 金融・物流 】 [ 金融 ] − ファンド、プライベートエクイティ投資、資産運用、REIT等

           [ 物流 ] − 国内物流、国際複合一貫輸送、工業団地事業等

       ( 引用: よくわかる商社 ) 


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2011年10月12日

総合商社の機能と組織 (15)

 コーポ―レート部門 − スリム化後は経営支援機能を担う重要な部門に

 ◎ 従来の職能部門の多くは分社化または営業組織化された。

 ◎ 残った職能部門はコーポレート部門などと呼ばれ、経営を補佐する重要な役割を担う。

 職能部門の分社化と営業組織化

 職能部門では、もともと人事関連や経理関連のアウトソーシング会社をすでに設立していたが、1990年代後半では定型業務を行う財務、経理、人事、総務などの組織を丸ごと分社化するようになった。それらは本体の人員削減に大きく貢献した。

 また、職能部門の金融部門と物流部門も人員削減を進めることになった。両部門は、貿易取引のトレードを拡大するために支援する部門であり、これまでに培ってきたスキルを外部に提供することでフィーを稼ぐことを目的に営業化された。

 ITとともに金融部門は金融機能、物流部門は物流機能という商社機能を担う新営業部門として注目され、それぞれ後述するように収益を上げている。こうして残った職能部門は、経営を補佐する 「 コーポレート部門 」 に生まれ変わり、コーポレートガバナンスなどの分野でも重要な役割を果たすようになった。

 それらは各社各様ではあるが、おおよそ経営企画部、経理部、財務部、業務部、人事部、総務部、監査部、広報部、法務部などで、最近はリスクマネジメント部のような新しい組織もある。

 経営機関を支える黒子役

 コーポレートの各部は、コーポレートガバナンスやコンプライアンスに係わる各種委員会の事務局や構成メンバーとなっており、経営機関を支える黒子役としての役割を果たしている。

 職能部門時代の商社の組織は、経理や審査などの業務を営業部門に分散する分散型と、本社の職能部門にすべてを集約する集中型があり、業績や景気の状況に応じて離合集散を繰り返してきた。最近は、 「 小さな本社 」 を目指すところが多く、また営業部門への権限委譲で現場での管理体制を強化するという狙いもあるため、ほとんどの商社で分散型にしている。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 職能組織の2つのタイプ

 [ 集中型 ] 大きな本社職能部門 ( 職能機能の提供 ) 

       → 営業部門
       → 営業部門
       → 営業部門

[ 分散型 ] 小さな職能部門  ( コーポレート部門 )

        → 職能組織 − 営業部門   
        → 職能組織 − 営業部門 
        → 職能組織 − 営業部門 

 主な職能子会社

 職能分野全般 − 伊藤忠シェアードマネジメントサービス
 ( 財務、経理、金融サービス、国際審査関係業務受託 )
          丸紅マネジメントリソース
  ( 経理、コンサルティング、人事、総務サービス )
          双日シェアードサービス
   ( IT、経理、人事、総務等、職能業務の一括請負 )


 人事関連   − ヒューマンリンク ( 三菱商事の子会社)
          伊藤忠人事サービス


 財務・経理関連 − 三菱商事フィナンシャルサービス
 ( 財務、経理、審査関連業務受託など )
           住友商事フィナンシャルマネジメント
 ( 関連会社金融、外国為替、出納、経理業務等の受託 )


 総務関連     − 三井物産ビジネスサポート 

       ( 引用: よくわかる商社 ) 


posted by ヒデキ at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 総合商社の機能と組織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月27日

総合商社の機能と組織 (9) 商社に学閥はあるか?

 商社に学閥はあるか?

 商社に就職を希望する大学生や、これから商社でのキャリアアップを目指す若手ビジネスマンにとっては、商社に学閥があるか無いか、あるいは学歴がどの程度昇進に影響するのかは気になる問題である。

 そもそもブログの著者; ヒデキも20年前の学生時代には三菱商事や三井物産への就職を熱望していたにも拘わらず、超難関校の学生とそれ以外の学生とで入社の門戸に差があり (現在はたとえ大手商社といえども、私学の第2グループや第3グループにも幅広く門戸が開けられています)、外資系金融への就職に鞍替えしたいきさつがあるくらいである。

 主に過去のデータから見受けらられる点としては、

 − 大手商社ほど役員の出身校が偏る傾向が見える
 
 − 商社では、役員の中に社長と同じ大学の出身者が多く含まれることがある

 − 下位商社では、役員の出身校はバラエティに富んでいる

 ということ。

 商社の関係者に 「おたくの会社では学閥はありますか?」 
と聞いて、 「ハイ、あります」 と返答する人などまず居ないであろう。

 しかし、名古屋大学出身の社長の時に、絶対数が少ないにも関わらず名大出身の役員が増えたり、一橋大学出身の社長の時に一橋大出身の役員が増えるなどの傾向はこれまでに都度都度みられました。
 学閥はないと言っても、商社を構成するのは人間なので、学閥はないと言っても同じ役員候補者なら、同窓の後輩を引き上げるケースが多いらしい。

 次表にあるとおり、総合商社7社における役員の出身大学は、東大、慶大、早大、一橋大、京大の5校で過半数を占める。

 この5校で2008年について見ると、三菱商事は役員全体の85%、三井物産は61%と大半を占める。
 また、住友商事は5割強を占めるが、京大が三菱商事や三井物産と比べると圧倒的に多い。

 伊藤忠商事は学閥が無いと言われるだけあって突出して多い学校は無いが、それでも上位5校の比率は6割に近い。
 丸紅は有力5校のうち、早大の代りに東京外語大が入り、慶大が最も多い。
 豊田通商と双日は出身校がバラエティーに富んでいる。

 【 総合商社各社の役員ベスト5校 (2008年) 】

 三菱商事
1位 東大 15 (人)
2位 早大 12
3位 一橋大 11
4位 慶大  7
5位 成蹊大 2
 
 三井物産
1位 東大・一橋大 各10
2位
3位 慶大・横国大 各3
4位
5位 早大      2

 住友商事
1位 東大   8
2位 京大   5
3位 慶大   4
4位 神戸大  3
5位 阪大   3

 伊藤忠商事
1位 東大   7
2位 一橋大・早大・神戸大 各6
3位
4位
5位 京大・名大 各4

 丸紅
1位 慶大   9
2位 一橋大  8
3位 東大   5
4位 京大   3
5位 東京外語大 2

 豊田通商
1位 慶大   6
2位 早大・同志社大 各5
3位 京大・東北大・神戸商大 各3
4位
5位

 双日
1位 慶大   5
2位 神戸大・神戸商大  各3
3位
4位 東大・京大・横国大ほか 各2
5位

【 過去3年間、総合商社7社の役員ベスト10校 】

 2008年
1位 東大 47 (人)
2位 慶大 37
3位 一橋大 36
4位 早大 28
5位 京大 18
6位 神戸大 15
7位 阪大 10
8位 名大  9
9位 横国大 7
10位 同志社大 7

 2007年
1位 東大 44
2位 慶大 42
3位 一橋大 31
4位 早大  29
5位 神戸大 18
6位 京大  15
7位 名大   8
8位 阪大   8
9位 横国大  8
10位 同志社大 8

 2006年
1位 慶大 42
2位 東大 37
3位 早大 26
4位 一橋大 26
5位 神戸大 17
6位 京大 13
7位 名大 10
8位 横国大 8
9位 阪大  7
10位 同志社大 7

      (引用: 「よくわかる商社」 日本実業出版社)



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