2016年02月25日

食料M&A関連、商社苦戦

 総合商社がここ数年で買収した食料関連の事業が苦戦している。三井物産の農業子会社はのれんの減損を迫られ、丸紅の穀物、三菱商事の養殖魚などは期初の利益計画を下回る見通しだ。新興国の景気低迷に伴う市況悪化や競争激化が響く。

資源安が逆風になるなか、成長の柱として食料に多額の投資をしてきた。経営体制の見直しなどで立て直しを急ぐ。

 苦戦が目立つのが農業分野。三井物産は2011年に買収したブラジルの農業子会社マルチグレインののれん63億円を全額、減損処理した。他の損失も含めマルチグレインについて15年4〜12月期に239億円の最終赤字(前年同期は63億円の赤字)を計上した。

 ブラジルでの穀物の集荷販売は中国企業の参入もあり競争が激しい。期初は前期の最終赤字(85億円)から改善を見込んでいたが、逆に赤字額が膨らむ見通しだ。穀物メジャーから人材を登用、物流の効率化を進め早期の黒字化を目指す。

 丸紅も13年に約2700億円を投じて買収した米穀物子会社ガビロンで前期にのれんを減損処理した。今期は160億円程度の純利益を計画していたが、4〜12月では59億円にとどまる。

 年間でも減損を除いた前期実績と同程度の100億円程度にとどまる見込み。「抜本的に手を入れる」(国分文也社長)方針で、本社の管理コストの削減などに取り組む。

 三菱商事は14年に約1500億円で買収したノルウェーのサケマス養殖子会社、セルマックが4〜12月に36億円の最終赤字を計上した。ロシアでの需要減退と天然魚の豊漁などで市況が低迷。今期から年間で利益貢献を見込んだが赤字となる。

 連結で最高益を更新する伊藤忠商事も13年に約1350億円で買収した米青果物大手のドール・フード・カンパニーのアジアでの青果物事業が苦戦している。干ばつの影響でフィリピンやタイでバナナやパイナップルが不作。今期は前期比7割増の81億円の利益を計画しているが、未達になりそうだ。

 安定需要が見込める食料は、最近も三菱商がシンガポールの農産物商社に出資、伊藤忠も米チョコレート原料加工会社に出資した。原油安などが続き資源事業は短期間の回復が難しい状況にあり、買収した食料事業の収益を早期に軌道に乗せる必要がある。

 【 現代総合商社論 三菱商事株式会社 】


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2015年03月30日

総合商社各社の2016年春の採用計画

       総合職(大卒) 昨年      初任給

三菱商事  約200 (197)      205,000円
三井物産   150 (150)      205,000円

伊藤忠商事    未 (140)      205,000円
住友商事  約160 (155)      205,000円

兼松      約45 (42)      205,000円
豊田通商  約100 (106)      205,000円

伊藤忠丸紅鉄鋼  未 (45)       210,000円


3月13日現在の集計
(引用: 日本経済新聞)


 【 商社 <2016年度版 産業と会社研究シリーズ>】

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2015年02月08日

総合商社の機能と組織 (32) 機械部門 

 “ 自動車〜機械部門の収益の稼ぎ頭 ”

● 系列メーカーの輸出から始まり、市場の変化により多角化の動き
● ディーラー事業、金融事業への注力で販売力を強化するも、世界経済に大きく影響される点は変わらず。

商社の自動車ビジネスは、銀行を頂点とする企業集団の中で関係の深いメーカーの輸出を手がけてきた。具体的には、日産自動車は丸紅、マツダは住友商事と伊藤忠商事、三菱自動車は三菱商事などがそれぞれ完成車の輸出を手がけた。

 メーカーは、欧米のような巨大市場を自らコントロールし始め、商社はさらに輸出を拡大
すべく単独もしくはメーカーと合弁で輸入卸 (ディストリビューター事業) に乗り出した。

 アジアでは各社が自動車製造合弁事業に一部出資したが、欧州での地域争奪線で出遅れた三菱商事はいすず自動車とタイで、三菱自動車とインドネシアで、それぞれ大きなリスクを負って製造事業に参画した。

 80年代になると、日米の貿易摩擦問題でメーカーが現地生産に切り替え始めて、環境がさらに変化、この頃よりディーラー事業やオートローン事業に進出するなど多角化の動きがみられ始めた。

 90年代になると、アジア危機や自動車メーカーのグローバルな業界再編で日産やマツダが外資の傘下に入り、商社はディストリビューターから外されるなど、さらに厳しい状況に追い込まれ、アジアの自動車生産事業は現地市場の低迷による経営不振に陥った。

 その後、商社はディーラー事業の拡大と金融事業への注力により販売力を強化、存在意義を発揮し、特に金融事業は欧州、アジアで各社とも収益に貢献する事業が成長している。

 また、アジア経済の回復で現地の自動車製造事業が復活、三菱商事のタイとインドネシアの自動車事業は機械グループの業績拡大に大きく寄与した。三井物産は米国の大手小売ペンスキーグループに出資して、川下での事業拡大に乗り出し、ロシアや東欧などの新興市場の拡販に注力する商社も出てきた。

 しかし、2008年9月の金融危機以降は、再び厳しい状況に逆戻りしている。

 “ 商社機能を発揮する船舶・建設機械”

● 海運会社と船主の仲介取引に加え、保有船舶の傭船需要も絶好調
● 建設機械はアジア経済の回復や資源開発プロジェクト向けの需要増などで環境が好転した。

    船舶ビジネスの主要分野は、新造船・中古船の仲介売買、傭船ビジネス、ファイナンス業務、保有船の管理・運行業務、舶用機械取引などで、一部の商社ではEPSO(海洋プロジェクト)を含むところもある。

 従来は国内の海運会社などのオペレーター向けに傭船契約を結び、造船メーカーの船台の空き情報の提供、ファイナンス機能の供与など、まさに商社機能を駆使して四国や中国地方の船主に新造船の仲介取引を行う展開が中心であった。

 しかし、国内開運会社の再編により、傭船の引当先に困った商社は欧州のオペレーターとの取引開拓に注力。これが奏功して1990年代後半より復活した。

 さらに中国・アジア向けの新造船取引などが好調で業績拡大に拍車が掛かっている。船舶の保有・運行管理業務では、大手商社で20隻前後の船舶を保有して、主にオペレーター向けに傭船に出しているが、最近は海運市況高騰により業績が良い。

 “事業型への転換で好業績”

 建設機械部門は、バブル崩壊以降の長い国内建設不況とアジア危機の影響を受けて、非常に厳しいリストラを余儀なくされ、縮小の一途をたどってきた。しかし、2000年頃からの中国の建設ブームに伴う建機需要の急伸、アジア経済の回復に伴う一般建設機械の需要増、資源開発プロジェクトの増加に伴う鉱山機械の需要増などで外部環境が好転している。

 商社では、住友商事などが世界の主要市場にディストリビューターからディーラーなどの事業を展開、単なる輸出ではなく、事業展開による収益構造の転換で好業績を上げているほか、三菱商事は国内の建機レンタル大手のニッケンを買収し、この分野で収益大手に躍り出た。

 その他の機械分野には、航空機と一般産業機械があり、航空機では輸入代理店業務、航空機リース、オペレーティングリース、防衛機器関連の輸入などを手がけている。

 (つづく)

【 引用: 最新<業界の常識> よくわかる商社 】



 【 Kindle Paperwhite 】


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2014年11月30日

商社 アジアの突破口(3)

「食」のパワーゲーム、提携で現地経営に関与

 商社がアジアで新たな勝負を仕掛けている。食料や健康、エネルギー。現地企業と提携し、大きく変容する巨大市場を耕す。単純な仲介取引ではなく事業経営に深く関与し、かつてない規模で人材と資金を注いで商流を張り巡らせる。どう突破口を開き、成長を取り込むか。最前線を追う。

 2014年11月11日、インドネシアのジャカルタ。スーパーのアルファマート1800店に山崎製パンの商品が並んだ。「MYROTI(私のパン)」ブランドでランチパックなど10種類を投入したところ、ふわりとした食感が受け、品切れ店も出た。

 山崎パンは現地で工場を建設して200人を雇い、商品改良を続けてきた。この工場には三菱商事と1万店の店舗網を持つ流通大手アルファグループの合弁会社が49%出資し、商品はすべてアルファが引き取る。三菱商事の現地子会社で社長を務める清島伸隆氏は「ここからが本当のスタートだ」と気を引き締める。

 「1丁目1番地」。山崎パンのインドネシア事業を三菱商事はこう表現する。同国の食品市場は2020年に17兆5千億円と、09年の3倍強まで拡大する見通し。食生活の変化で需要が伸びるパンを「食」の調達・供給網の中核に位置付ける。

 ジャカルタから空路で1時間。ジャワ島中部スマランにある製粉大手スリボガの工場。山崎パンは必要な小麦粉すべてをここから調達する。

 三菱商事は13年にスリボガに10%出資し、取引を仲介。日本の製粉子会社から人材を派遣して衛生管理や生産の手法を伝え、山崎パンの要求に応えた。「三菱商事を通じて優良な取引先を得られた」と山崎パン現地法人の斎藤真幸社長は語る。

 アルファとの合弁会社はマレーシアの菓子大手やタイ茶飲料大手とも新工場を建設する。商流は広がり網の目は細かくなる。三菱商事の垣内威彦常務執行役員は「日本で培った垂直統合モデルをアジアに移植する」と話す。インドネシアはその第1弾。3年前に数人だった生活産業の駐在員は今や約20人とエネルギー部門に迫る。

 タイ最大級の財閥チャロン・ポカパン(CP)との提携で勝負に出たのが伊藤忠商事だ。

 バンコクから車で3時間。広大な農村地帯にCPグループの飼料工場が現れる。伊藤忠の食料部隊は近代的な取り組みを見て一様に驚く。

 トウモロコシなど原料を様々な大きさや形に分類し、自動生産する。年600万トンの生産工程をカメラで監視し、1時間ごとに品質を確認する。管理するのは3人。同様の工場を中国やインドネシアなど16カ国に持つ。

 農家から土地を借り、農場や養鶏場を整備して原料を供給する。育った作物や鶏を買い取って加工する。これがCPの事業モデルだ。「どこの国でも適用できる」と絶賛する伊藤忠の岡藤正広社長は「ミャンマーで農場を一緒に整備しようとしている」と明かす。

 住友商事はシンガポールの製粉大手プリマと国境を越える。中国で製粉、オーストラリアでは冷凍パン生地生産を手掛ける。現法の泥谷英樹アジア大洋州メディア・生活関連ユニット長は「国ごとに違うアジアを先行企業と組んで開拓する」。

 アジアは食文化の変化も著しい。大転換期をどう勝ち抜くか。「食」を巡るパワーゲームの勝利の方程式はまだ定まっていない。

 【 商社 − 2015年度版 産業と会社シリーズ 】

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商社 アジアの突破口 (2)

ヘルスケア争奪戦 国またぐ病院網に照準

 シンガポールにメディクロ・パートナーズという会社がある。メンバーは日本人2人で、インドネシアに足しげく通う。目的は生体肝移植の検査、手術後の診療などを施す専門クリニックの調査だ。斎藤雅文社長は「国をまたぐ診療ネットワークを築きたい」と語る。


 実は、この会社の親会社は三井物産だ。なぜインドネシアの診療所に興味を持つのか。

 シンガポールにあるマウントエリザベスノビーナ病院。荘厳な外観や内装は高級ホテルのようだ。アジア最大の病院グループ、IHHヘルスケアの中核拠点で、高度先進医療ときめ細かいサービスを求めて海外から来る患者が後を絶たない。

 三井物産は2011年にIHHに900億円を出資し、病院事業に参入した。13年に第2の矢として神戸の医療団体と組み、ノビーナ病院内に生体肝移植の専門クリニックを開設。日本人の専門医が常駐し、IHHの価値向上につなげている。

 ただ、クリニックが1カ所では限界がある。海外からの患者が手術後も自国で定期的に受診できる仕組みを作ろうとしており、インドネシアはその有力候補地なのだ。

 IHHは10カ国に37病院を持つ。インドや中国も積極開拓し、17年までに病床数を5割増の9千床にする計画だ。しかし、三井物産はIHHだけに頼ることはしない。

 担当の田中聡常務執行役員は「今後5〜10年かけて病院周辺事業を育てる」と強調する。予防事業や介護、病院業務の受託、人材派遣……。これから拡大する中間層にも照準を定める。アイデアは尽きず「必要であれば買収を仕掛ければいい」。三井物産の病院事業は新たなステージに入る。

 人口増や高齢化でアジアの医療支出は18年に1兆6千億ドルと、13年比6割増となる見込み。この成長市場を取り込もうと、他の商社も三井物産を追い始めた。

 豊田通商とセコムグループが今年3月にインド・バンガロールで開設した総合病院「サクラ・ワールド・ホスピタル」。今夏、豊通の本社から“カイゼンのプロ”が派遣されてきた。同社の原価低減・改善部だ。

 「倉庫の保管スペースを削減しよう」「使用期限切れの医薬品をなくそう」。同部は日本でトヨタ生産方式をベースにグループ工場や施設を視察し、物流や作業の効率化を指導してきた。ノウハウを病院に移植する。

 開設時は患者数の把握が難しく、医薬品の過剰在庫を抱えていた。薬の使用期限をデータ管理し、商品・用途別に置くようにして、薬や資料の在庫を3割減らした。

 豊通の松下剛常務執行役員は「病院の運営に参画すれば(必要な資材を一括管理する)院内物流などの周辺事業を手掛けられる」と語る。

 双日は病院支援のキャピタルメディカ(東京・港)と提携した。病院に医師経験者や財務担当者を派遣し、効率的な運営手法を教える。ベトナムやインドネシアなどの病院に営業を始めた。

 商社はアジアの健康・医療関連事業に関心を持ちながら、国ごとに異なる制度の壁にぶつかり、攻め切れていなかった。三井物産のIHHへの出資が呼び水となった。

 三井物産の飯島彰己社長は「日本で規制緩和が進んだときに、アジアで培ったノウハウを輸入したい」と話す。アジア攻略は日本の事業を進化させる潜在力も秘める。

 
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2014年11月28日

商社 アジアの突破口 ”電力・エネルギー構造転換 越境送電を商機に”

 「しっかりとした送電網を整備してほしい」。丸紅の電力部門幹部は10月、タイ石油公社(PTT)とミャンマー電力省の双方から鼓舞された。2020年稼働を目指してミャンマーで最新鋭の石炭火力発電所を建設し、タイに「越境送電」する計画を持つからだ。

 ミャンマー南部の国境付近に建設する発電所の出力規模は合計200万キロワット。原発2基分に相当する大規模電源の採算が発展途上のミャンマーで合うかどうかは不透明だが、丸紅は隣国タイで電力の供給不足が続いていることに着目した。

 「タイに発電所を設けるよりも、人件費や土地代などの建設コストを抑えることができる」(海外電力プロジェクト第二部の篠衆雄副部長)。ミャンマーでの立地は理にかなうと判断した。

 丸紅の電力事業は商社最大だ。世界23カ国で発電事業を手掛け、出資比率に応じた持ち分容量は1千万キロワット超と、四国電力や北陸電力を上回る。このうち4割を占めるアジアでも存在感を示していたが、1つの国だけで完結することが多かった。

 アジア各国で必要とされる電源の種類や規制などは国ごとに異なる。これまでは「点」で切り込んでいた。事業拡大を加速するには国同士の接点を見いだし「面」で押さえる戦略への進化が必要となる。篠副部長は「アジア全体の電力供給網を、我々がつないでいく」と意気込みを語る。

 三菱商事はミャンマーで発電所建設を検討し、三井物産はマレーシアで最先端石炭火力の建設・運営に参画する。官民挙げてインフラ輸出を目指す中で、受注競争は激しさを増す。丸紅がその先に見据えるのは「南米やアフリカの開拓」(朝田照男会長)だ。アジアは電力事業を世界に飛躍させる橋頭堡(きょうとうほ)でもある。

 アジアではエネルギーの需給構造が変化している。代表例が液化天然ガス(LNG)だ。インドネシアやマレーシアはLNGの輸出大国から輸入国に転じ、シンガポールも輸入拡大に動く。

 三井物産のアジア大洋州を統括する子会社の倉橋裕之エネルギー室長は「ものすごい勢いで市場は変化している。今はLNGのマーケットクリエーション(市場創出)が必要だ」と指摘する。石炭火力からLNG火力へのシフトが進むとみて、LNG火力の事業化を探っていると明かす。

 商社はアジアから日本へのエネルギー輸入仲介を以前から担ってきたが、今後は多様な取り組みが必要になる。アジア域内でのガス販売、コージェネレーション(熱電併給)システム、工場や船舶の石油からの燃料転換。変化を商機とする知恵と工夫がこれまで以上に試される。

 【 Fランク大学生が英語を猛勉強して日本のトップ商社に入る話 ー 学年ビリでもエリートになれる 】


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2014年11月17日

『 商社が勝者になったわけ 』

  日本経済新聞のコラムからご紹介します

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 50歳代後半になる筆者の大学時代、「商社冬の時代」とされた頃があった。バブル崩壊後の1990年代も一部商社に苦境の時期があったが、昨今、商社は大学生の就職人気ランキングの上位に並ぶ。金融市場のなかで商社が「勝者」になったのはなぜか。

 その転機は2000年代以降、商社のビジネスモデルが物流に依存した手数料ビジネスから投融資中心のプライベートエクイティモデル化した時期に一致する。それは外資系ファンドが日本でのプレゼンスを上げた頃とも重なる。

 商社は日本に特有の業態で、物流をベースに日本の産業に緊密なリレーション、人的・情報ネットワークを有し、しかも、銀行にかかった厳しい規制もかからず、邦銀との緊密な関係で資金調達上の不安も小さかった。まさに「ヒト・モノ・カネ」を兼ね備えた世界最強のプライベートエクイティファンドといえる。

 2000年代以降、企業の収益性は向上し、ROA(資産収益率)は上昇に転換した。こうした環境下で、資金拠出者である株主に対する配当利回りは急上昇したが、貸し手に対する貸し出し利回りは最低水準を更新中である。

 企業は株式投資者には報い、その恩恵は海外投資家や商社に向いた。一方で貸し手には報いない構造が銀行の低収益性と低金利にある。不足するエクイティ資金は高配当が得られても、過剰な貸し出しは、低収益に甘んじるしかない。

 日本は敗戦で財閥等の投資家が不在になり、銀行の貸し出しを実質的エクイティ(疑似エクイティ)として成長資金に充てる壮大な国家ファンド状況をつくった。こうした銀行のプライベートエクイティモデルがバブル崩壊後に崩れ、成長資金を補ったのが海外投資家や商社だった。

 今日、政府も含めたファンドの設立が話題になるが、それは、結局、商社機能をモデルにすることになるだろう。



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2014年10月02日

外国に総合商社はあるか?

 総合商社は日本だけに存在する稀有な存在として、広く海外でも(韓国やサウジアラビアなどを中心に) 日本の商社を自国に取り入れて経済を強化したいと、商社のノウハウを勉強しに来る人たちがいます。

 日本の7大商社の売上高を合せただけで、日本の年間GPD、470兆円の15%を占めるという巨大な存在なのですから、外国が興味しんしんなのは当然でしょう。それでは、海外にはソーゴーショーシャはあるのか? という素朴な質問に、専門書からお応えしましょう。
 
 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 世界の商社

 現在、海外に日本の総合商社と同じ分類に属される企業がどれほどあるのであろうか。 「 Forbes Global 2000」 は、フォーブズ誌が毎年発表する世界の上場会社上意2000社のランキングリストである。

 売上高、利益、資産、株価総額の4つの指標に基づいて決められ、2003年以来毎年発表されている。日本の総合商社は Trading Company というカテゴリーに分類されている。このカテゴリーに属する企業は2000社中21社あり、うち11社が日本の商社である。

 日本勢の内訳を見ると、総合商社7社が入っており、トップ5を三菱商事から丸紅までが独占している。その他専門商社のJFE商事ホールディングス、阪和興業、日鐵商事、兼松が顔を見せている。

 興味深いのは、日本以外の10社であるが、ハンファ(韓火)、サムスン物産(三星)、ヒョースン(暁星)、LG商事など韓国企業が4社、香港、スイス、フランス、インド、中国、ドイツの企業がそれぞれ1社ずつ入っている。

  “Forbes Global 2000 における世界の商社( Trading Company )時価総額ランキング (2010年)”
 
        売上高(米国会計基準)  時価総額 2010年
1位 三菱商事  4兆8,600億円       4兆4,800億円
2位 三井物産  4兆3,800億円       3兆1,500億円
3位 住友商事  3兆900億円        1兆7,900億円
4位 伊藤忠商事 3兆6,600億円       1兆5,600億円
5位 丸紅    3兆5,100億円       1兆2,300億円      
6位 ハンファ(韓火)韓国 2兆5,800億円      2,800億円
7位 豊田通商  5兆4,600億円         6,800億円
8位 リーファン(季豊)香港 1兆3,500億円  2兆3,000億円
9位 サムソン(三星)物産 韓国 1兆5,900億円  9,100億円
10位 ウォールスレイ(スイス) 2兆700億円     9,500億円
11位 レクセル  (フランス)1兆6,000億円     6,100億円
12位 双日    4兆1,100億円     2,700億円
13位 アダニ (インド) 5,800億円   1兆4,400億円
14位 ミン・メタルズ(中国) 1兆3,800億円  6,300億円
15位 ヒョースン (暁星)韓国 8,600億円  2,500億円
16位 JFE商事   1兆9,400億円    1,100億円
17位 ブレンターク (ドイツ)1兆200億円  5,100億円
18位 阪和興業   1兆1,900億円    915億円
19位 日鐵商事   9,800億円      427億円
20位 兼松     9,200億円      471億円

 21社中、18社がアジアの企業であり、欧州企業は3社しかない。アメリカ企業は、2000社のうち536社、つまり全体の4分の1を占めているが、商社のカテゴリーには1社も入っていない。ちなみに日本企業全体では2000社のうち260社と全体の13%を占めている。

 以上のリストから、総合商社が全く日本独自のものかは別として、Trading Company という分野では、日本の総合商社は圧倒的な存在感を示しているのだ。

 第2に、日本の総合商社に似た商社が、韓国にはいくつかみられることである。サムスン物産、LG商事は、韓国財閥に属する企業であり、取扱品目が多様化している。1位のハンファは、当初、韓国火薬から始まって事業を多角化した。

 火薬部門と貿易部門で構成されており、後者では、石油化学製品、鉄鋼、機械、製紙、畜産、ハイテク・自動車および産業機械等の産業原資材、食料資源、生活用品などの輸出入と仲介取引を行っている。建設や、建材・化学品製造などの子会社も持っている。

なお、インドのアダ二は、鉄鋼関連やエネルギーの取扱いが多いが、総合商社的な展開をしているというえるかもしれない。中国のミン・メタルズは鉄鋼商社とみてよいし、香港のリーファンは最終消費財の扱いに特化しているようである。

 第3に、欧米には、総合商社はもちろん、巨大な商社というものが少ないことである。そして、ここにリストアップされた欧州の企業は、いずれも専門商社 (建設資材、電子部品、化学)とみられる。逆に言うと、巨大な商社ないし総合商社はアジアに多いということになる。

 少なくとも、日本の総合商社に匹敵する規模においては、現在他国に総合商社は存在しないが、韓国にはこれに追随する規模で似た商社が存在する、ということになる。

 【 引用: 総合商社の研究 − その源流、成立、展開 】


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2014年09月04日

アマゾンもゴールドマン・サックスも、”総合商社” のうちのひとつ

 アマゾンは 『総合商社』の分類に入るということを今日、初めて知って、目からうろこが落ちた!! (IT企業だと思っていた。)

 ソーゴー・ショーシャは、日本だけに存在する世界でも稀有なビジネスモデルで、欧米でこれに入ったのはジャーディン・マセソン(英)、ロンロー(英)、エンロン(米)、東インド会社(英)の4社だけだが、いずれも廃れた。

 専門職制度や、「選択と集中」で、がむしゃらにROE(株価収益率)を上げようとする米欧資本主義では、

『石油から石炭から鉄鋼から銅から鉄道から港湾からバナナからカップラーメンから情報機器から航空機からコンビニの経営から火力発電所の経営からLNGガスの発掘から医薬品の開発まで何でもやります』 などというゼネラリスト的な発想はとうてい理解不可能で、白人世界には絶対に無いからだ。 

 でも、 『本からDVDから鍋から釜からクロスバイクから化粧品からサプリメントから工具からデジカメからギフト券からクレジットカードまで何でも扱います』 というアマゾンは、確かに欧米を代表するソーゴーショーシャだ。なるほど。。。 

一方、ゴールドマン・サックス証券だって、ペーパーマネーの総合商社 (株から債券から通貨からM&Aから財務アドバイザリーから投資信託から不動産投資から証券化商品から、富裕層業務まで、ペーパーマネーで儲かる仕事ならなんでもやります) なのだから、特段、ソーゴー・ショーシャは日本固有のビジネスでは無いわけだ。アマゾンもゴールドマンも ”総合商社” の一つだと思えば理解が早い。だから株式時価総額は総じて高い。

 総合商社というのは、日本であれ、欧米であれ、世界最強のビジネスモデルなのだ。

 【 ジェフ・ベゾス アマゾンを作った男の仕事術  一人の男がアマゾンを巨大企業にできた理由が全て書かれています。 】


 【 日本の7大商社 世界に類を見ない最強のビジネスモデル 】


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2014年08月20日

総合商社は世界に比類のないビジネスモデル

 世の中には、論理的思考やMBAに関するビジネス本があふれている。そうした知識も重要だが、文学、哲学、歴史といった「教養」を抜きにしては、真の一流になることはできない。

 また、世界を舞台にビジネスをする上でも、「教養」は不可欠になる。そこで、ビジネス界きっての教養人として、経営の最前線で活躍する三井物産の槍田松瑩会長とライフネット生命の出口治明会長兼CEOに、一流の仕事人に必要とされる「教養」について、語ってもらった。東洋経済オンラインより紹介します。

 商社は日本独特の業態

 ――出口さんが前回おっしゃったように、日本はずっとひとつのモデルでやってきて、新しいモデルをつくりきれませんでした。しかし商社という業態を見ますと、昔は物流ビジネスをやっていたのが、今は投資業をしたりして新しいモデルを見いだし、より多様性のある企業に脱皮できたという感じがします。

 槍田:そうですね。これはもうほかの国やほかの業界では例がないくらい極めてユニークで、しかもいいモデルだと思っています。今まではそれこそ輸出入、売り買い、物流で仕事をしてきましたが、それでは十分な価値を生むことができずに飯を食っていけないとなれば、次は投資だということで、いろいろな分野に投資をしていくようになりました。そうとうリスクもあったのかもしれませんが、ずっと輸出入や売り買いの仕事をしてきたその同じ社員が、100億、200億、場合によっては1000億円もの投資の仕事をハンドルできるように変わっていけたことには価値があると思います。

 普通はそれだけ仕事を変えようと思うと、いったん社員の総入れ替えくらいしないとどうにもならない。ところが喜ばしいことに、うちの社員は仕事を通じて変化に対してしょっちゅう対応しているうちに、こんなに大きな環境変化に対しても、うまく乗り越えていけるようになったのでしょう。もちろんしんどいけれど、気力と意欲でビジネスモデルを投資のほうに転換できたということは、僕は誇るべき変化だと思っています。もしこの仕事がうまくいかなくなったとしても、この社員たちなら、また次の新しい仕事のやり方に、みんなで切り替えていけるという自信はありますね。やはり人は財産です。

 出口:今、槍田会長がおっしゃった、変化に対応できるということは、社員のみなさんが世界中の最前線にいて、世の中はしょっちゅう変わるものだということを知っておられるからです。商売をやっているかぎり、必ず作る人と買う人の間に人が入り、その人たちが世界を動かしていく。これは、古今東西共通です。

 槍田:売る人と買う人の真ん中にいるということは、変化に敏感でないといけない業種ですからね。そこで磨かれたのだろうと思います。

 ―― 日本のほかのあらゆる業態が、なかなか新しいモデルへシフトできない中で、独特の業態である商社だけが、ここまでうまくシフトできたということに、いろいろなヒントがある気がします。

 槍田:確かに商社は日本にしかないビジネスモデルですね。日本は島国だったこともあり、貿易を専門とするビジネスモデルが育つ土壌があったから、海外展開が早かった。海外展開をすると、いろいろな変化に直面します。体制が変わる、革命が起こる、法律が変わる。いろいろなことをしょっちゅう経験してきましたから、柔軟性の鍛えられ方が違ったのでしょうね。

 よく「どうしてこんな日本にしかないモデルがやっていけるのか」と聞かれます。普通、日本にしかないモデルというと、ほかの国ではいらないんだから、日本でもいらなくなるのが当たり前ですよね。だけれどもそうならずに、きちんと仕事ができているというのは、なかなか面白いことですね。

 ―― そういう意味では商社マンという立場自体が、世界のいろいろな動きを敏感に感じて、新時代の教養人になるようないちばんのポジションなのかもしれません。ちょっと褒めすぎですか(笑)。

 槍田:いろいろなことを体験できるし、いつもいちばんリスクにさらされるところで仕事をしていることは間違いないでしょうね(笑)。人間はリスクにさらされれば、否応なしに考えたり勉強したりしますから。
出口:修羅場を積んだ人ほど強いと言いますが、世界中で修羅場を積んでいらっしゃるわけですから、こんなことを言ったら生意気ですけれど、人を鍛えるにはすごくいい環境でしょうね。
修羅場での判断力を支えるのも、教養

 ―― 槍田会長が商社マン人生の中で、「これは自分の修羅場だったな」とか、「自分の足腰を鍛えるのに役立ったな」と思える経験はどういう経験ですか。数えきれないと思いますが。

 槍田:それはもう忘れられないのは、やっぱり「事件」ですよね。
私はもともと前社長の引責辞任で登場してきた社長なのに、社長に就任してから2年後の2004年にまた事件が起きた。排ガス規制に関するデータを捏造して認可を得たディーゼル排気微粒子除去装置を、2万1500台も売ってしまったことが判明したのです。

 僕はそのとき引責辞任を考えたけれど、この事件の始末はつけなければいけない。しかし始末をつけるためと言いながら社長にとどまるという姿勢が外からどう見られるか、ということも考えたり、葛藤しました。
でもやっぱり経営をしている以上は、それこそ1000万人から非難されてもやらなければいけない仕事があるだろう、というのが最終結論でした。「お前、やっぱり居座りたいから居座っているんだろう」という非難があっても、2万1500台を回収しないことには収まらない。最終的に、すべて後始末に2年もかかりましたが、あのときはかなり悩みましたね。そういうときも、過去に読んだ本とか、ほかの人の生きざまなどが参考になりました。

 ―― 当時、特に心に響いた本や、どなたかの言葉はありますか。

 槍田:これは極めて具体的なことですが、日本のある経営者の方が、「槍田さん、あんたはもし今カッコよく辞めたらさっぱりするかもしれないが、2年ごとに社長が引責辞任しているような会社は、10年は立ち直れないよ」と言ってくれて、それもずいぶん参考になりましたね。

 ―― 出口さんはいかがですか。

 出口:ライフネット生命はまだマーケットシェア0.02%の赤字会社です。保険会社全体で40兆円を超える売り上げがある中で、76億円にすぎません。保険業界は黒字になるまで時間がかかり、ソニー生命さんでも13年かかったと慰めてくれる人もいますが、黒字になるまでは経営者というよりただのチャレンジャーです。
でもどんな仕事でも山あり谷ありということは、本当だなと思っています。忍耐というか我慢というか、自分と向き合ってどこまで自分をコントロールできるかがすごく大事だな、ということくらいは、ちょっとわかってきた気がします。

 ―― そこも教養の一部でしょうね。

 槍田:自己判断ですよね。「自分は断固としてこれで行こう」という判断が大事だと思いますよ。その自己判断を支えるのが、教養といわれるものではないでしょうか。教養とかバックグラウンドがないと、周囲の雰囲気とか、外側の意見とか、人からどう思われるかというようなことに左右されてしまいます。
好きこそものの上手なれ

 ――おふたりにとって理想というか、あこがれの教養人や実業家などはいらっしゃいますか。

 槍田:私がお付き合いしている経営者の方々は、みなさんいろいろな経験を積まれて経営者になっておられるので、タイプや個性は違いますが、立派な人ばかりです。名前を挙げたらキリがないので、とても選べないというのが正直なところです。

 出口:僕もそう思います。ご存命の方や身近な方は恐れ多いので、遠い昔の人ということで、いつもクビライ・ハンの名前を挙げています。なぜなら彼は、死ぬまで自分に諫言してくれる人を探し続けていたんですね。あれだけの大帝国をつくった人でも、自分にはまだまだ足りないところがあるのではないかとつねに自分を戒め、「お前は裸の王様や」とボロクソに言ってくれる魏徴(ぎちょう)のような人を探し続けた。その姿勢がすごく好きです。

 ―― 最後にビジネスパーソンへのメッセージを一言いただけますか。

 槍田:僕は今でも何か興味を持つとすぐ見に行って、話を聞いて、またそれを人に話すということをよくやっています。それを繰り返していくことで、ずいぶん人生が豊かになりますし、今日話した教養みたいな部分もずいぶんカバーされるのではないかと思います。やっぱりいやいや勉強するよりも、自分が関心や興味のあることを追いかけるのがいちばんいいですよね。勇気を持って好きなことをやればいいと思います。

 出口:たくさん人に会い、たくさん本を読み、たくさん旅をする。これに尽きるような気がします。でも何を読んでいいかわからない、どこへ行けばいいかわからないなら、それは自分の興味のあるものや好きなものを突き詰めればいいと思います。「好きこそものの上手なれ」で、「この100冊を読まないと教養がない」と言われたところで、興味がなければ読んでも身に付きません。好きなものを自分が腑に落ちるまで掘り下げること。ほかにはないと思います。

(引用:東洋経済オンライン)

 出口治明(でぐち・はるあき) ライフネット生命会長兼CEO
1948年三重県生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当するとともに、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事する。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職。2006年に生命保険準備会社を設立し、代表取締役社長に就任。2008年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を開業。2013年6月より現職。

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posted by ヒデキ at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 総合商社の機能と組織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする