2017年09月24日

住友商事が地方でイオンに挑む

 住友商事は日本の地方都市で商業施設を増やす。約400億円を投じ、2017〜21年に5カ所開業する。日本の人口は減少傾向だが、30万人以上いる都市なら堅調な集客が見込めるとみて、地方に強いイオンモールに挑む。

 スーパーやドラッグストアなどを誘致する(千葉県流山市のLEVENおおたかの森)

 千葉や埼玉、沖縄や北海道で食品スーパーやドラッグストアなどの店舗を誘致する。「土地区画整理事業」と呼ばれ、地元の地権者たちがつくる組合を通じて、それぞれの土地を集めて再開発する手法をとる。住商は組合側からまとまった用地を買い取るため、個別の買収交渉が不要となるのが利点だ。

 まず7月に千葉県流山市で商業施設「LEVENおおたかの森」を開業した。事業費は約25億円。食品スーパーやドラッグストア、100円ショップなどを誘致した。05年に開業した鉄道「つくばエクスプレス」駅から徒歩圏内で、人口増が続く同線沿線では集客が見込めると判断した。

 埼玉県羽生市では7月、約6万4千平方メートルの敷地を買収する契約を地元の組合と結んだ。スーパーやホームセンターなどが入り、20年に大型商業施設を開業する。

 北海道や沖縄県などでも進行中で、19〜21年に開業を計画する。今後開発する4件で投資額は350億〜400億円となる。

 地方の商業施設ではイオンモールの集客力が群を抜く。ただ住商はイオンが出店していない地域で「トップの施設をつくれれば勝ち残れる」(営業担当者)とみる。

 土地区画整理の手法を使い11年に神奈川県藤沢市で「テラスモール湘南」を、16年に仙台市で「セルバテラス」をそれぞれ開業した。住商の商業施設は開発地域の人口や世帯収入にあわせて、設計や入居店舗を決めている。イオンのように統一した施設名を持たず、施設ごとに名前を決めることで地元密着感を打ち出し集客する。

 開発後はファンドや不動産投資信託(REIT)などに施設を売却し、利益を得る手法が基本だ。金融緩和で不動産に資金が流入し、都市部のオフィスやマンションだけでなく、地方の商業施設でも買い手がつきやすくなっている。

 住商にとって不動産は祖業で、企画から開発まですべて手掛ける。不動産事業の純利益は開示していないが、年間150億〜200億で推移し、17年3月期の連結純利益(1709億円)の約1割を稼ぐ。17年3月期で5200億円ある不動産の資産を20年3月期には6500億円にまで上積みする計画だ。

 ただ地方都市は集客のパイが限られる。商業施設が増えれば顧客を奪い合い、収益が悪化する施設も出てくる。イオンモールも地方に出店を進める計画で競争は激しくなる。

 不動産のノウハウを蓄積する住商の目利き力が試される。

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2017年08月31日

住友商事がニュージーランドで森林追加取得

 住友商事は2020年3月期までに、ニュージーランドに持つ森林で木材の供給能力を6割増やす。現地の子会社が約70億円を投じ森林を追加で買収する。

 主な輸出先となる中国は河川の氾濫を防ぐために天然林の伐採規制を強化しており、丸太の需要が10年間で2倍に急増している。住宅建材向けにアジアでの需要も増えるとみている。

 住商が100%出資する森林経営会社、サミットフォーレスツ(オークランド)はニュージーランドの北島に森林を持ち、2017年3月末の面積は約2万9千ヘクタール。

 今年9月までに、北島で約4千ヘクタール分の森林を買収する契約を地主らと結んだ。20年3月までに3千ヘクタールを追加取得するために用地探しを進めており、全体で3万6千ヘクタールに増やす。

 針葉樹のマツを植林し30年間かけて販売できる大きさに育てる。木材の供給能力は17年3月期が年間50万立方メートルで、20年3月期に80万〜90万立方メートルに伸びる。森林の総資産を現在の130億円から200億円に増やす。

 サミットフォーレスツは木材・原木の約8割をニュージーランドとオーストラリア、日本向けに、2割を中国に輸出する。木材流通会社や加工会社に卸し、壁や床材など建築用で使われている。

 林野庁などによると、丸太の世界輸入量(産業用)は14年が1億3660万立方メートルで、そのうち中国が39%を占める。04年に比べて世界全体では約1割増加しており、中国は2倍に増えている。

 中国は森林を乱伐した影響で1998年に大洪水が発生。天然林の保護政策を年々強めており、輸入量は今後も増えていく見通しだ。住商はインドやインドネシアなどでも木材の需要が増えるとみて森林拡張を決めた。

 住商は建築向け木材では日本の商社で最大規模の森林を経営している。サミットフォーレスツは13年に買収した。ロシアでも森林経営会社チェルネイレス社に45%を出資し、年120万立方メートルを日本や中国・韓国に供給している。

 日本の商社では丸紅がインドネシアやオーストラリアで製紙用チップをつくる森林を経営している。伊藤忠商事は製紙原料のパルプを製造するフィンランドのメッツァファイバーに出資する。

 【 住友商事 By AERA ”全力世界” 】

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2017年08月07日

住友商事が北米で不動産を続々と開発

  住友商事や三菱商事などが相次ぎ米国で数百億円規模の不動産投資ファンドを立ち上げる。低金利下で不動産市場への流入が続く機関投資家の資金を活用して新たな開発を進め、収益源を多様化する。一方で自社保有の物件をファンドに組み入れてバランスシートから切り離し、過熱感も指摘される市況の変動に強い体質を作る。

 住友商事はイリノイ州とフロリダ州の2つのオフィスビルを組み込んだ約350億円の不動産ファンドの運用を7月から始めた。両ビルとも住友商事が保有していた大型物件で、すでにファンドに売却済み。ファンドには国内の金融機関や事業会社などが出資している。賃料収入で運用し5年間で年10%超の利回りを見込む。

 住商は米国で1980年代からオフィスビル開発を手がけている。主要20都市で事業をしており、優良なテナント誘致や長期安定的な契約締結のノウハウを持つ。

 今後も自社開発の不動産を組み込む形で300億〜400億円のファンドを年1本程度立ち上げる計画。3年後にファンドの資産規模を1000億円以上に引き上げる。自ら開発から運用まで手がける強みを生かし年金など投資家層の拡大を目指す。

 総合商社各社は保有する資産から効率的に稼ぐために、優良資産への入れ替えを進めている。住友商事も18年3月期までの3年間で6000億円の資金回収を目指している。保有する不動産をファンドに売却することで資産が軽くなる。回収した資金を使って、より利益が見込める新たな不動産開発につなげることができる。

 三菱商事も4月に、米国で約275億円のファンドを立ち上げた。三菱商事グループが現地企業と開発中の賃貸住宅や物流施設の一部を取得する。開発完了後は物件を売却し収益を得る。運用期間は4年。米国不動産の開発ノウハウを生かし、継続的に同様のファンドを組成する。

 三井物産は2月に米大手不動産運用会社CIMグループに約600億円を出資し、運用への関与を始めた。CIMは北米、南米の特定の都市部に集中的に投資する手法が特徴。オフィスビルや住宅、商業施設などを組み込み、10〜20%の利回りをあげる。

 主に米国の機関投資家から資金を集めているが、出資を機にCIMの詳細な情報を国内の投資家に提供、年内にも国内での販売を始める。年金基金や地銀などの投資需要を取り込む。

 国内の機関投資家は低金利で債券での運用が難しくなっており、債券や株式以外のオルタナティブ(代替)投資の需要が高まっている。不動産投資は足元では国内が中心だが、今後は海外不動産の需要も高まるとみて、各社とも商品を充実させていく。

 【アフリカにかける ある商社マンの痛快人生】
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2017年07月31日

住友商事が衛星海外初受注

 住友商事とNECはベトナム政府から人工衛星の打ち上げを受注する。NECが海外から受注するのは初めて。受注額は190億円で、2020年度に打ち上げる。

 世界の衛星市場は欧米メーカーが席巻し、日本企業のシェアは三菱電機のわずか2%にとどまる。今回、衛星関連では初の円借款が認められる見通しで、官民で組んで巻き返しを図る。

 住商が事業全体を取りまとめ、ベトナムが実施した入札で落札。近く正式契約する。日本企業が同国から衛星打ち上げを受注するのは初めて。住商・NECは今回の実績を生かし、新興国市場の開拓を進める。

 NECが開発した人工衛星は経済産業省の資金支援を受けているほか、衛星関連で初めて国際協力機構(JICA)から円借款を供与される。日本の打ち上げ施設を使い、衛星を宇宙に運ぶロケットは日本製を使う案が浮上している。

 【 2020年代の新総合商社論 】



 NECが新たに開発した地球観測用の衛星が「ロータスサットワン」(重量約500キログラム)。衛星を動かす基幹部分を量産できるのが特徴で、価格を同性能の衛星に比べて約5分の1に抑えた。

 ベトナムは台風などによる洪水の被害が増えており、天候を監視・分析するため衛星を2機打ち上げる計画。住商・NECは今回、1号機を受注しており、2号機の入札にも参加する方針だ。

 NECの宇宙事業は国内が中心で、年間売上高は400億円規模。住商の宇宙関連の売上高は約20億円だ。

 日本企業で人工衛星を作るのは三菱電機とNECが中心。三菱電機は08年にシンガポール・台湾、11年にトルコ、14年にカタールで通信用の衛星を受注したが、01〜14年の世界シェアはわずか2%にとどまる。

 米国衛星産業協会によると、衛星の世界市場は15年が2083億ドル(23兆円)と10年比で24%増えた。東南アジアや中南米などの新興国では経済発展に伴って人工衛星を自国で保有する動きが広がる。通信環境の改善や自然災害への対処、軍事面での活用と幅広いニーズがある。

 世界の衛星市場は欧米メーカーが圧倒的な存在感を示す。「欧米は宇宙開発の国家予算が日本よりはるかに多い。打ち上げ回数が多く、安価な衛星製造が可能だ」(日本総合研究所の斉田興哉マネージャー)。中国やインド、韓国の衛星メーカーも台頭しており、受注競争が激化している。

 日本政府は24年度までの宇宙政策の指針を定めた新たな「宇宙基本計画」を15年に策定。遅れている宇宙開発の強化を急いでいる。
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2017年07月16日

住友商事とメタルワンが国内鋼管販売の統合を検討

 住友商事と鉄鋼商社のメタルワンは10日、国内の鋼管販売事業を統合する検討を始めたと発表した。早ければ2018年度の前半に新会社を設立し事業を移管する。

 建材や石油化学プラントなどに使われる鋼管は国内では需要拡大が見込めない。統合でコストを削減して競争力を高める狙い。

 両社は統合検討委員会を設置し、今後詳細を協議する。住商子会社の住商鋼管(東京・千代田)とメタルワン子会社のメタルワン鋼管(東京・港)の統合案のほか、住商とメタルワン本体から一部事業の移管を検討している。海外事業は今回の統合対象からは外す。

 鉄鋼商社は鉄鋼メーカーが生産した鋼材を買い取り、ゼネコンや自動車メーカーなどに製品を販売している。住商鋼管の17年3月期の売上高は530億円、メタルワン鋼管は同620億円。

 メタルワンは03年、三菱商事が60%、日商岩井(現在の双日)が40%を出資して設立した。伊藤忠商事と丸紅が01年に鉄鋼販売を切り出し、折半出資で伊藤忠丸紅鉄鋼を立ち上げるなど、合従連衡が相次いだ。

 三井物産は今年3月、鉄鋼販売の一部を新日鉄住金グループの日鉄住金物産に譲渡する検討を始めたと発表。再び鉄鋼流通で再編の動きが広がっている。



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2017年07月01日

住友商事がミャンマーで商用車の販売網を構築

 住友商事はミャンマーで日野自動車製の商用車の輸入事業を始めた。インフラの整備に伴って増加する建設業向けのミキサー車やダンプカー、運輸業向けのトレーラーなどの新車販売を強化する。今後は正規代理店として、日野自動車製品を取り扱うディーラーの拡大にも乗り出す。自社で運営する現在の2拠点から、2020年には5拠点に増やす計画だ。

 住友商事が60%出資する現地財閥サージ・パン・アンド・アソシエイツ(SPA)との合弁会社サミットSPAモーターズが今年3月、日野自動車と独占代理店契約を締結した。日本製に加え、日野自動車が中国やインドネシアで生産している廉価な車種も輸入する。

 サミットSPAは2014年以降、ミャンマーの主要2都市で日野自動車の正規サービスステーションを開業している。車両の保守を通じて顧客との接点を増やし、新車販売の拡大につなげる考えだ。今年春には日野自動車から日本人の整備士の出向者を配置した。

 自動車の輸入には外資規制があるため、従来はSPAの子会社が輸入業者となっていた。サミットSPAは昨年秋、外資でも自動車輸入が認められるショールームのライセンスを取得したため、直接輸入が可能になった。通関時の課税評価額の低減や在庫車両の手続き簡素化が見込める。

 ミャンマーの商用車市場は、中古車も含め年間約2万台規模。近隣国に比べると小さいが、今後は拡大が期待できる。一方で日系の自動車各社にとっては中古車の比率が高いのが課題。政府に対し、古い型式や日本式の右ハンドル車(ミャンマーは右側走行)の中古車の輸入規制を求めている。
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2017年05月05日

住友商事がマダガスカルのニッケル開発で出資比率引き上げ

 住友商事はマダガスカルで手がけるニッケル開発プロジェクト「アンバトビー」の出資比率を引き上げると発表した。共同で事業を手がけるカナダの資源開発会社シェリットインターナショナルの一部持ち分を取得して、比率は32.5%から47.7%に上昇する。貸付金が権益に置き換わるため、新たな資金拠出はない。

 シェリットは財務体質が悪化しており、住商が子会社を通じて資金を貸し付けている。その部分をシェリットの出資分と置き換える形で権益を取得する。シェリットは出資比率が40%から12%に低下する。住商と、同じく共同開発する韓国資源公社が比率を引き上げる見通し。

 アンバトビーに対しては完工後に資金が必要になった場合に株主が拠出することになっていたが、シェリットは資金難で2015年末から拠出を停止して、住商や韓国資源公社が出していた。今回の合意で新たな出資比率に応じて、シェリットが過去に遡及して資金を拠出する。

 07年から開発を始めたアンバトビーは立ち上げの遅れやニッケル価格の低迷によって16年3月期に770億円の減損損失を計上している。17年3月期はコスト削減効果で期初想定より縮小するが赤字が続く見通し。住商のアンバトビーへの出資比率は当初の27.5%から15年に32.5%に増加した。今回さらに上昇することで今後、住商の利益への影響は大きくなる。

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2017年04月20日

住友商事がブラジルで上下水道参入 民間最大手に280億円投資

 住友商事はブラジルで水道運営事業に参入する。カナダの投資会社などと組み、ブラジルに上下水道を持つ民間企業最大手に7割出資する。

 住商の投資額は出資比率で14%に相当する約2億5千万ドル(280億円)。日本の自治体や民間企業と組み、漏水を迅速に復旧するなど日本式の管理ノウハウを提供する。ブラジルでは水道民営化が急務となっており、市場拡大が見込めると判断した。

 建設や化学品関連のブラジル複合企業オデブレヒト社から上下水道21案件と、産業用の水処理施設4案件を4月中に買収する。サービス利用人口は約1700万人とブラジルの水道事業で日本企業最大の規模。住商は約10人を派遣し、経営や事業運営に参画する。

 カナダのブルックフィールド・アセット・マネジメントなどと共同で株式の70%を取得する。住商の出資比率は14%。住商の総投資額2億5千万ドルのうち大半を4月中に払い込み、追加投資を順次実施する。買収する事業の売上高は2016年が約670億円。新たな水道の買収を進め、22年に約1400億円に引き上げる計画だ。

 英国調査会社グローバル・ウオーター・インテリジェンスによると、ブラジルの上下水道の17年の市場規模は推計で約200億ドルと世界6位。30年には290億ドルと約5割拡大する見通しだ。

 同国で15年時点で上水道の普及率が83%、下水道は50%にとどまる。ブラジル政府は民間資金を活用し、33年に上下水道をともに90%強まで高める方針。同国政府が07年に違法な水道利用などを防ぐ国家衛生法を制定し、民間企業が参入しやすくなっている。

 住商は日本の自治体や民間企業と連携し、日本式の水道管理ノウハウを提供する。水道管に載せるだけで簡単に漏水を発見できるメーターや、最新型の汚泥処理装置などを提供する見通しだ。

 住商は1995年、トルコで水道の運営事業に参画後メキシコや中国、英国などで展開している。水道ビジネスは資源ビジネスと異なり経済変動で需要や収益がぶれない。安定型の事業として成長領域に位置づける。

 【 熱心な素人は玄人に優る―住友商事・戦後の一歩から21世紀の巨歩へ 】

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住商、インドで車鋼材加工 現地大手に200億円

 住友商事はインドで自動車向け鋼材製品の加工事業に参画する。200億円強を投資し、現地の特殊鋼大手メーカー、ムカンド(ムンバイ)から子会社の株式49%を取得する。ギアなどの部品に使う特殊鋼を圧延し、スズキや地場の自動車メーカーに供給する。インド自動車市場は世界5位で、5年後に4割増える見通し。製造部門を強化して成長市場を開拓する。

 ムカンドの子会社で、特殊鋼の加工会社ムカンド・アロイ・スティールズ(MASPL、マハラシュトラ州)に今夏にも49%を出資。人員を派遣し、配当や利益を得る。

 ムカンドから原料の鋼片を買い、MASPLの工場で圧延する。年産能力は約35万トンで、ギアや操舵(そうだ)装置などの自動車(二輪含む)部品向け特殊鋼ではインドで25%を占める最大手。

 住商が持つ日系自動車メーカーなどの商流を活用し、販売を増やす。MASPLは2〜3年後に売上高で200億ルピー(約350億円)をめざす。

 【 図解入門業界研究最新総合商社の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版] 】



 市場拡大に伴い受注が増えれば工場新設も検討する。住商は2012年、ムカンド傘下の2次加工会社に10億ルピーを出資している。事業を広げるため1次加工のMASPLへの出資を決めた。

 住商は伝統的に新日鉄住金など鉄鋼メーカーの販売を仲介してきた。資源価格の下落に伴う需要減で苦戦し、金属部門の純利益は17年3月期が80億円と前期比で3割減る見通し。収益を増やすため、製造・加工部門の強化が課題となっていた。

 みずほ銀行によるとインドの新車販売台数は16年が約370万台で、21年に512万台に増えると推計する。モディ政権の発足なども背景に、住商は2年前から鋼材製品の現地生産に向けた交渉を始めていた。

 インドの自動車価格は日本などより安く、輸入品より割安な国産原料が求められているとの指摘もある。中国による割安な鉄鋼製品の供給過剰を受け、インド政府は15年、日本を含む複数国の自動車用熱延鋼板の関税を上積みした。国産品を重視する経済環境も、インド国内の鋼材加工事業に追い風となっている。

 日本の総合商社では三井物産や豊田通商がインドで特殊鋼の加工・販売事業を展開している。
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2017年03月19日

住友商事、財務改善、新分野に投資へ

 ―― 2016年4〜12月期はチリの銅鉱山で336億円の減損損失を計上し、資源分野の苦戦が続きました。その背景と今後の見通しを教えて下さい。

高畑恒一最高財務責任者 「同じ鉱山で採掘できるモリブデンをまず生産し、そこで得るキャッシュを元に開発する計画だった。採掘が難航し、銅の価格も想定以上に下落してしまった。減損処理を終え、今は案件に携わる(住友金属鉱山など)3社が採算改善へ協力して取り組んでいる」

 「14年度以降、資源分野で損失が続いた。立ち上げ案件を複数同時に抱えるリスクは避ける。資源価格の回復を見込んでおり、ボリビアの銀や亜鉛の鉱山での税金の引き当てによる損失は補える。今期順調に立ち上がっているマダガスカルのニッケル鉱山も18年ごろの黒字化が期待できる。資源事業は体力の範囲内で今後も続ける」

 ――非資源分野は手堅く利益を出しています。何に注力していきますか。
 「テレビ通販のジュピターショップチャンネルや輸送機リース、デベロッパーも手掛ける不動産など特徴のある事業がキャッシュを生み出している。食品スーパーのサミットなど生活関連も安定してきた。メディア事業は今後も拡大余地があり、中長期の視点で投資していく」

 「アイルランドの青果物生産・販売大手ファイフスを2月に(900億円強で)買収した。当社から十数人が出向き、事業や資産の内容を細かく分析している。まずは企業価値を高め、その後は農場買収など関連する投資も考えていく」

――油井管などの鋼管事業は今期赤字見通しです。減損リスクはありませんか。
 「原油価格が安定し油井管の在庫調整が進んだことで、底入れの兆しが出ている。想定よりは遅れてしまったが、17年度後半には本格回復するだろう。減損テストは当然するが大きなリスクはないとみている」

 ――中期経営計画で掲げる18年3月期に連結純利益2200億円以上との目標は達成可能ですか。
 「一時的な損益を除いて四半期で600億円前後の基礎収益を稼げるようになってきた。1年なら2400億円になる計算で、無理な目標ではない。ただ、資産入れ替えなどで多少の損失が生じる可能性もある」

 ――負債圧縮が進み、キャッシュフローも改善してきました。余剰資金が出たら何に振り向けますか。
 「これまで財務改善を優先してきたため、営業現場から『もっと投資したい』との声が高まっている。19年3月期からの次期中計に向けて経済や産業のメガトレンドを分析しており、例えば自動車の軽量化につながる新素
材など新しい分野に投資していく」

 (引用: 日本経済新聞)

【 30分で分かる総合商社、専門商社 】

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