2017年08月20日

丸紅が中国カフェ大手と協業へ

 丸紅が中国の大手カフェチェーン「パシフィックコーヒー」(PC)と、協業に向けた契約を結んだことがわかった。年内にも完全子会社「アロマコーヒー上海」の株式の40%を、香港に拠点を置く華潤集団傘下のPCに売却して協業態勢をつくる。

  PCで使うコーヒー豆の販売を担うほか、中国で約5千店舗を展開する華潤集団の小売りチェーンでも「アロマ」ブランドのコーヒーを販売する。

 PCは中国で約500店舗を展開しており、中国国内での店舗数はスターバックスコーヒーに次ぐ2位。今後フランチャイズ方式を本格的に導入し、数年で店舗数を倍増させる方針だという。

 丸紅は上海にコーヒー豆の焙煎(ばいせん)工場を持つが、今回の協業を機に、北京、広州にも焙煎工場を増設する。現在、年間700トンの販売量を3年以内に5倍に増やす計画だ。実現すれば、コーヒー豆の販売量で中国最大規模のシェアを占めることになる。





 丸紅によると、中国のコーヒーの消費量は年間10万トンほどで、近年急伸している。丸紅は日本のコーヒー豆の取り扱いでも約30%のシェアがあり、日本式の焙煎技術を中国に持ち込んで、急増を見込むコーヒー需要の取り込みを狙う。

 丸紅幹部は「中国でもコーヒーが味で選ばれる時代。『アロマ』を中国一のコーヒー会社に育てたい」と話す。
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2017年07月20日

丸紅がアメリカで高級牛肉を生産

 丸紅は米中間の食肉貿易の拡大を見越し、牛肉加工・生産事業で米国に進出する。高級牛肉大手の米クリークストーンファームズ(カンザス州)を約200億円で買収した。中国は過去15年近く米国産牛肉の輸入を禁止していたが6月に解禁。

 中間層の成長もあり米国産牛肉の消費拡大が見込まれている。米国など主要国の通商政策の変更を商機ととらえる動きが広がりそうだ。

 18日付でクリークストーン社の全株式を取得した。投資額は丸紅が引き継ぐ負債を含め約1億7千万ドル(約200億円)。丸紅は社長ら5人程度を派遣し経営に参画する。

 クリークストーン社の2016年12月期の売上高は5億5千万ドル(約620億円)。畜産農家から肉牛を買い上げて食肉に加工し、外食店や食品スーパーに卸している。牛肉生産量で米国12位、高級牛肉分野では上位数社に入る。16年は25万頭分を処理し、米国向けが約8割、欧州・日本など米国外が2割を占める。

 中国政府が6月に米国産牛肉の輸入を解禁したため、クリークストーン社は中国への輸出ライセンスを同月に取得した。今後は中国を中心に新興国への輸出を増やし、20年12月期に売上高6億2千万ドルを目指す。

 丸紅は40年以上前から米国産の牛肉を日本に輸入してきた。1988年には牛の飼育牧場を持つオーストラリアのレンジャーズバレー社を買収。同社は現在年間4万頭を出荷し、豪州や日本、中韓や欧州、中東で牛肉を販売している。丸紅はこの販路を使ってクリークストーン社の牛肉輸出を増やす。

 経済協力開発機構(OECD)などによると、世界の牛肉消費量は16年が6835万トン。新興国の人口増加などで26年には7604万トンに1割強増えると推計している。

 中国政府は03年に米国でBSE(牛海綿状脳症)が発生して以来、米国産の輸入を禁止してきた。米中両政府が今年5月に貿易不均衡を是正する「100日計画」で合意したことを受けて、今年6月に米国から中国への輸出が始まった。丸紅はこうした主要国の通商政策の変化をとらえ、事業拡大につなげる考えだ。

 伊藤忠商事は13年にカナダの豚肉生産会社ハイライフ社に出資し日本に輸入している。16年には東京都内にカナダ産豚肉を使った料理を提供する直営店を出店した。環太平洋経済連携協定(TPP)の発効で豚肉の輸入関税が下がれば、カナダ産豚肉の販売に追い風となる可能性がある。

 【 商社 2018年度版 産業と会社研究シリーズ 】
 
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2017年06月15日

丸紅がイランで資材360億円で受注

 丸紅はイランの石油化学製品メーカーから石油化学プラントの資材を受注した。納入総額は3億2千万ユーロ(約360億円)に相当する。日本貿易保険(NEXI)が貿易保険を供与し、代金回収ができなくなった場合には補償する。イランでは1月、欧米による核問題の経済制裁が解除された。

 丸紅が現地石油化学製品大手のペルシャン・ガルフ・ペトロケミカルと機材納入で合意した。丸紅は経済制裁前のイランでインフラ関連機材の納入を手掛けてきた。

 日本政府はイラン側と2月、投資協定を締結し計100億ドルの資金支援枠を設けた。ただ米国の制裁は完全に解除されておらず、事業環境には不透明な要素も残る。
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丸紅がヨーロッパに向け衣料参入、製造小売りに供給

丸紅は欧州向けの衣料品の企画・生産事業に参入する。トルコのサイデテキスタイル社(イスタンブール)に7月、45%を出資する。投資額は70億〜100億円とみられる。

トレンド衣料を安く消費者に届けるファストファッションを手掛ける欧州の製造小売り(SPA)などに商品を供給する。トルコはテロなど治安上の不安もあるが、事業運営に影響はないと判断した。

丸紅が出資するサイデ社は衣料品のサンプル品も生産している(イスタンブール)

サイデ社への出資は丸紅のファッション事業として、過去最大の投資となる。丸紅は2人を派遣して経営を支援する。

 SPAはファストファッションが人気となり、「ZARA(ザラ)」を主力とするインディテックス(スペイン)、ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M、スウェーデン)などの高成長が続く。日本企業ではユニクロを運営するファーストリテイリングが代表格だ。

 サイデ社は欧州大手SPAからシャツやセーターなどの企画・生産を請け負う。年間売上高は約200億円と4年前の2倍に増えた。

 ロンドンの拠点で最新の流行を把握して商品を企画し、トルコの協力工場に生産を委託。企画から納入まで約2カ月の短期で終えるノウハウが強みという。

 丸紅は中国やバングラデシュ、ベトナムなどアジア7カ国に協力工場を持ち、日本の衣料品メーカーに商品を納めている。この事業の年間売上高は約2千億円で、ファストファッションの成長により拡大傾向にある。

 サイデ社がロンドンに持つ企画拠点を活用することで、日本の衣料品メーカーへの商品提案力も強化する。衣料分野で強い伊藤忠商事や三菱商事への対抗軸とする。

 一方で、サイデ社は丸紅の協力工場を活用し、トルコより人件費が安いアジアで衣料品を生産する体制を築く。欧州に大量輸出できる体制を整え、4〜5年後に売上高300億円をめざす。

 世界貿易機関(WTO)によると、トルコからの衣料品の輸出額は2015年で150億ドル(1.6兆円)。国・地域別で中国や欧州連合(EU)に続く世界7位で、地理的に近いEUへの輸出が堅調に推移する。

 丸紅はトルコでコマツの建設機械を販売したり、日清製粉グループとパスタの製造工場を運営したりしている。現時点ではビジネスにテロなどの影響は出ていないという。「サイデ社は欧州で事業を手掛けるため、トルコの政情不安の影響を直接受けにくい」として投資を決めた。
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2017年06月03日

もはや丸紅電力 全社利益の4分の1稼ぐ

 中国電力を上回る発電能力を持つ丸紅。「丸紅電力」の異名を持つ電力部門は、5月9日に発表する2017年3月期決算で連結純利益の約4分の1に相当する370億円を稼ぐ。宮田裕久電力本部長は「500億円を目指す」と意気軒高だ。だが、それは電力に依存した収益構造も表している。

 「やはり撤退したか」。この春、丸紅の幹部はつぶやいた。

 三井物産は16年3月期決算でオーストラリアの火力発電所などを巡り、約300億円の減損損失を出した。アルミニウム精錬所が操業を停止、大口顧客を失った発電所は17年3月に閉鎖した。

 丸紅も13年に行われた出資者を募る入札に参加したが、電力市場の成長に確信が持てず、低めの価格を提示したとみられる。丸紅は入札に敗れたことで損失を回避した。

 丸紅は世界各地で発電所を約70カ所運営している。17年3月末時点で発電能力は1176万キロワット。総合商社では首位だ。三井物産も電力事業を強化、発電能力で丸紅に迫る。だが、丸紅の電力部門に焦燥感は見られない。リスク管理能力に自信を持っているからだ。

"入札6戦全敗"

 丸紅も以前は失敗ばかりだった。00年代初めは中東で発電所運営をもくろんだが、入札で6戦全敗した。関係者のつてをたどり、落札した業者の提案書を読み込んだ。減価償却の期間を長くするなど提案を工夫する方法を学び、中東の入札で連戦連勝を果たした。

 買収で煮え湯を飲まされたこともある。06年、米国でバイオマス発電所や商業施設の発電設備など複数の案件をまとめて取得。だが、ずさんな管理体制に気がつき、撤退に追い込まれた。

 こうした失敗から教訓を学んだ丸紅。「我々はリスクや収益性を見抜くノウハウにおいて他の総合商社をはるかに上回っている」(経営幹部)

 伊藤忠商事は11年にJパワー(電源開発)などと組み、インドネシアで発電所建設を表明した。だが、住民らの反対にあい、運転開始は当初予定の16年から20年にずれこみ、事業費も膨らんだ。

 丸紅はこの入札も狙っていた。「伊藤忠側の候補地は取得が簡単ではない」と予想、別の土地にすることを提案した。入札は取れなかったが「損して得したのは丸紅だ」(電力業界の関係者)。

 「今月のリポートをお送りします」。丸紅の電力アセットマネジメント部には毎月、発電所からメールが届く。財務情報のほか、熱効率や燃料費などのデータが並ぶ。

 09年に台湾の発電所でギア部品が壊れた。メーカーからの納品を待つと約3カ月かかる。多額の損失が避けられそうにない――。誰もがそう思ったとき、ある社員がデータを調べた。すると、同じ部品をトルコの発電所が持っていることが判明、トルコから部品を空輸、約6日で補修した。

 【 丸紅 】


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丸紅、国分社長が将来の展望を語る

 ――2019年3月期の連結純利益の目標を当初から500億円少ない2000億円に引き下げました。原因は何ですか。

 「現在の中期経営計画は昨年2月に発表したものだ。為替を含めて経営を取り巻く環境が大きく変わった。原油や金属価格が低迷し、16年3月期から今期までの3年間はエネルギー事業の損益は赤字にならざるを得ない。目標に届かないということであれば早期に市場に知らせるべきだと考えた」

 「さらなる成長に踏み出すには、財務の改善が欠かせないとの判断もあった。現状のマイナス金利は異常な状態だ。いずれ正常化し、調達環境は変化する。我々も最低限の財務水準を維持する必要がある。今後2年間は、新規投資や株主還元よりも負債の圧縮を優先する。17年3月期に1.2倍だった純負債資本倍率(ネットDEレシオ)を1倍まで引き下げたい」

 ――13年に約2700億円で買収した米穀物子会社ガビロンの収益は想定ほど伸びていません。

 「買収当時にシナジー(相乗効果)を高く見積もってしまった。ガビロンは買収を繰り返して規模を拡大する一方、コスト削減や事業の構造改革が不十分だった。経営陣を入れ替え、互換性がなかった肥料事業と穀物事業はすでに分離した。リストラは前期で終え、今期からは成長に向けた取り組みに進む段階だ」

 「ガビロン以外にも、出資案件についてすべて精査を始めた。重点的に監視している案件は50〜60件に上る。損益にかかわらず、今後の展望が見えない事業については売却などを検討せざるを得ない」

 ――主力の電力事業の今期の純利益見通しは400億円と前期からほぼ横ばいです。成長が鈍化しているのでしょうか。

 「電力事業は投資が先行するため収益貢献まで時間がかかる傾向にあるが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)などのシステムを導入して発電所の効率化を進めている。人工知能(AI)やビッグデータなどの活用も検討している。電力需要が今後伸びる海外での潜在余力は大きい。今後10年以内に1000億円超の利益を目指したい」

 ――エネルギー・金属事業の収益は市況に大きく揺さぶられます。今後の資源価格の推移をどう予測しますか。

 「原油については需給ギャップは天然ガスほど大きくない。現状の1バレル50ドル前後という価格を米国や中東産油国、ロシアなどがどう見ているか。極端な上昇は良くないが、もう少し上がった方がいい、というのが基本的な共通認識だろう。価格が20〜30ドル台に急落するシナリオは考えにくい」

 (引用: 日本経済新聞)
 
 【 総合商社――その「強さ」と、日本企業の「次」を探る 】
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2017年04月20日

丸紅、GEと発電所効率化 IoTで費用削減

 丸紅はあらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術を活用し、国内外で運営する発電所を効率化する。米ゼネラル・エレクトリック(GE)などのシステムを導入し、5年以内に原子力発電所6基に相当する600万キロワット分の発電所に設置する。受注競争が激化する中、コストを減らしてシェア拡大を図る。

 第1号として千葉県袖ケ浦市に持つ火力発電所で、GEが開発したIoTシステム「プレディクス」を採用。来年3月に運用を始める見通しだ。

 丸紅は日本や欧米、アジアや中東で火力や風力、水力発電所などを運営している。発電能力は中国電力と同規模の1180万キロワット分。そのうち5割の発電所で5年以内にIoTを導入し、その後に全発電所に広げる方針。海外の発電所でIoTシステムを本格導入するのは日本企業で初めて。

 発電所のIoT管理システムはGEのほか、独シーメンスが提供している。丸紅はGE製を中心に、地域や発電所の状況に合わせて最適なシステムを採用する考えだ。

 【 2020年代の総合商社論 】



 ガスタービンやボイラーといった機器に温度や音、振動を感知するセンサーを設置。運転を常時監視し、データをクラウド上で集めて分析する。燃料の燃焼を最適化するほか、機器の異常を素早く予知・検知。発電設備の急な停止を防ぎ、設備の休止期間も短縮する。

 GEが米国などでシステムを導入した事例では発電所の運営コストを1〜3%削減した。丸紅は全世界の年間発電コストが約2千億円にのぼり、すべての発電所に導入した場合、20億円規模のコストを減らせる計算だ。

 日本では昨年4月に始まった電力小売制度の全面自由化により、電力大手と新規参入の新電力との受注競争が激化している。丸紅は新電力で国内シェア3位。英国でも電力小売りを展開中だ。

 東南アジアや中東などの新興国は人口増加に伴う発電所の新設が増えており、日本や中国などのインフラ関連企業との競争が激化。丸紅はコスト削減で競争力を高める。
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2017年02月19日

丸紅の純利益が今期2.2倍へ

 丸紅は2017年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比2.2倍の1400億円になりそうだと発表した。従来予想は2.1倍の1300億円だった。

  太陽光発電事業の譲渡益や石炭や銅など金属事業での持ち分法投資利益が見込みを上回る。17年3月期末配当は従来予想から2円増額し、11円50銭に積み増した。年間配当は前期と同額の21円になる。

 一方、穀物や紙パルプの販売が見込みを下回り、今期の売上高見通しは10%減の11兆円に下方修正した。従来予想は6%減の11兆5000億円だった。営業利益は14%減の900億円を据え置いた。売り上げ減を資源価格の上昇に伴う金属資源の増益で補う。

 併せて発表した16年4〜12月期の連結決算は、純利益が前年同期比12%減の1076億円だった。円高や電力・プラント事業の減益が響いた。売上高は15%減の8兆923億円だった。石油トレーディング事業で販売が振るわなかったほか、円高が6700億円の減収要因になった。

 同日記者会見した矢部延弘最高財務責任者(CFO)は資源価格の先行きについて「銅価格は今よりは上がりそうだが、あまり大きくは上がらない。石炭価格はもう少し調整しそう」と予想した。
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2017年02月01日

丸紅、UAEで太陽光発電 世界最大級 建設・運営に参画

 丸紅はアラブ首長国連邦(UAE)で世界最大級の大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設・運営に参画する。発電出力は約118万キロワットと、原子力発電所1基分を超える。昨年の地球温暖化対策の枠組みを定めた「パリ協定」の発効で再生可能エネルギーへのシフトが世界で加速しており、日本の関連産業の輸出拡大にもつながりそうだ。

 2月にも契約に調印し、2019年の運転開始をめざす。総事業費は1千億円規模で、地元の電力会社に25年間売電する。

 出資比率はアブダビ水電力省が60%、丸紅が20%、中国太陽光パネル製造のジンコソーラーが20%となっている。

 アブダビ東部の砂漠地帯で、東京ドーム166個分に相当する約7.8平方キロメートルの土地を現地政府から借り受ける。パネルはジンコ社の製品を採用する。太陽光パネルの技術革新により、高温で砂ぼこりの多い砂漠でも安定した発電量が確保できるようになった。

 中東は日本より日射量が多く、太陽光発電所の開発が盛り上がっている。

 【 資源を読む 丸紅経済研究所 柴田明夫 】

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2017年01月21日

丸紅、試される変革の本気度 トランプ銘柄として注目を集める

隠れたトランプ銘柄として、米大統領選後、株価が上昇してきた大手商社株がある。丸紅だ。昨年11月9日からの株価上昇率は3割近くと、大手商社のなかで最も高い。米国でのビジネスが相対的に多く、景気回復などの恩恵を受けやすいとの思惑が働いている。

もっとも、注目すべきは足元で進める経営の変革だ。先行き不透明なトランプ効果の後も株高を持続できるかは、変革の本気度にかかっている。

 穀物集荷大手ガビロン、農業資材販売のヘレナケミカル、メキシコ湾の油・ガス田……。いずれも丸紅が米国で手掛ける事業だ。2016年3月期でみると、米国における固定資産などの非流動資産は7139億円、収益は2兆4302億円。大手商社5社のうち、資産規模では2番目の三井物産(4600億円)、収益では2番手の住友商事(1兆240億円)を大きく引き離す。

トランプ政権の下、米国の経済成長が加速し、さらに減税措置もとられれば、丸紅に有利に働く可能性は確かにありそうだ。

 とはいえ、先行きを見通しにくいトランプ効果より、見極めが重要なのは変革の効果だ。実は、丸紅は足元で新規投資を重ねて収益を伸ばす戦略から、投資を抑えて既存事業を伸ばす戦略に軸足を移している。「取得した資産を使って次に何をやるのか、1+1=2ではなく、どうやって5にするか、6にできるか、知恵の勝負になる」。丸紅の国分文也社長は年頭、こう社内に呼びかけ、投資後に比重を置くことを強調した。

 背景には投資をテコにした拡大戦略が転機を迎えていることがある。前期に資源分野を中心に1600億円強の減損損失を計上したことが象徴するように、今や資源高を支えにした成長戦略は描きにくい。大手商社が重視する「基礎営業キャッシュフロー(CF)」が同業他社より見劣りしていることもある。在庫処分などで出る現金収入を除いた基礎営業CFは事業の稼ぐ力を端的に示す。

前期に2400億円と前の期から約800億円減り、16年4〜9月期も減少が続いた。投資による収益拡大が難しいなか、コスト削減などによる既存事業の強化が稼ぐ力を高めるうえで欠かせない。

 変革を実践する現場の一例が、千葉県袖ケ浦市にあるガス火力発電所「中袖クリーンパワー」だ。昨年10月から、あらゆるものがネットにつながる「IoT」を導入し、トラブルの未然防止や燃料効率の改善に取り組んでいる。熟練技術者の暗黙知に頼る部分も多かった温度や気圧などに応じた運転・管理について、データ収集・解析を通じて改善する。

 丸紅は国内で20、海外22カ国・地域で50の発電事業を手掛け、発電容量では三井物産と首位を争う。17年3月期予想では電力事業の純利益は370億円と全体の約3割を占める稼ぎ頭だ。発電所全体でかかる経費は年間6000億円程度とみられ、たとえ1%の削減でも利益貢献は小さくない。丸紅は大半の案件で事業運営に携わっており、中袖で培ったノウハウを他の発電所にも広げる方針だ。

 新規投資が脚光を浴びやすい一方で、コスト削減などの取り組みは地味と受け取られがちだ。電力本部長の宮田裕久常務執行役員はまずは「意識改革が不可欠」と話す。今後はコスト削減の仕組みを整えられるかどうかも、人事評価の対象とする考えだ。稼ぐ力の回復に、全社を挙げての持続的な取り組みが求められている。

 【 丸紅 】



 【 丸紅の会社研究 2017年】


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