2019年09月29日

ゴールドマン・サックス証券(4)

 − 3次面接 

アーク森ビル .jpg

 それからまた3週間ほどたった後、3次面接に呼び出され、今度は外国人のVP(ヴァイス・プレジデント)2人と会うことになった。
英語の面接とは言え、ドイツ系銀行でも上司はエジプト人、上司の秘書と、隣の同僚がドイツ人、はす向かいに座る同僚がイギリス人で、部内にいる日本人は2人しかいなかったので、英語面接にアレルギーは無かった。

 マホガニー色をした豪著なオフィスに通され、遅れて入ってきたのは長身でロバート・レッドフォードに似たアメリカ人男性。
アメリカのFBIで幹部だったところをゴールドマンに引き抜かれたらしい。

「ホワイトハウスとウォール街の回転ドア」
と呼ばれるゴールドマン・サックスは、会長が米財務長官に就任したり、政府高官が逆に入社したりと、政治と金融の中枢的な役割を果たす、突出した金融機関だ。

ドナルド・トランプ政権が2017年に発足した際には、6人の経済閣僚・金融閣僚がゴールドマンから登用された。
彼はとても寛容でフレンドリーで、「彼の部下だったらさぞかし毎日気持ちよいだろうな。」と思った。

 彼の説明するゴールドマンの仕事は大変厳しいものらしく、高いクオリティを求められ、証券会社特有のスピード感、期限重視の考え方が仕事の隅々にまで行き渡り、遅れようものならば社員の評価に響く、すわなち長く会社に籍を置けない、ということだ。

 自分も身振り手振り交えながら、いかに同僚の2倍、3倍の仕事量を引受け、連日夜遅くまでデスクにかじりついて、複数のプロジェクトを同時進行させながら日独間のカルチャーギャップを埋めるべく知恵を振り絞ってきたか、それがどう結果に反映したかを説明した。

少なくとも「千代田区を代表するハードワーカーだ!」というボトム・ラインは分かってもらった。
「千代田区で一番のハードワーカーが、港区で一番のハードワーカーになろうとして、ここに来ている訳ですから、僕にこのポジションを任して下さい。」

アドレナリンが吹き出すと、トークが止まらなくなるのは、いつものことである。
 しかし緊張の糸がピーンと張り詰めた会議室には、打ち解けた雰囲気が訪れることは無く、僕の専門性やら知識レベルを試す質問が矢継ぎ早に。

 そしてしまいには、英文履歴書を穴の開くほど眺められ、 「私の長所」の欄に彼の眼が留まった。 
 「ヒデキ、君が誇るのは爆発的なバイタリティと、創造力らしいね。バイタリティにあふれているのは分かったけど、創造力はどの程度あるんだい?

 君の創造力を立証する例を挙げてくれないか?」 と、尋ねられ、冷や汗が落ちてきた。
 ”英文履歴書を読むのはアメリカ人だから、アメリカ人の好きそうな言葉を書いておけ” と、テキトーに書いたものだから、質問されても困ってしまう。

 実例など、無いのだ。“もう面接もここで終わりか?”と、あきらめの境地に入る。
 「・・・あのう、仕事では例が無いのですが、プライベートならあります。
幼い男の子二人がいるのですが、トミカの高価なジオラマセットをいくつも欲しがるので、カーフェリーのおもちゃと、東京湾アクアラインの海ほたるのジオラマ模型を手作りで作ってあげました。

 息子たちと鉛筆で設計図を書き、段ボールを使ってカーフェリーや、畳一畳分もある海ほたるの模型を作り、最後に絵の具で色づけしました。

 息子たちは大喜び。いつもリビングのど真ん中にセットを広げてはミニカーで遊んでいます。
 もっとも、”部屋を狭くされた!”と、マイ・ボス(=妻) は至って不機嫌ですが。。。」  
 と、ありのままを説明した。どこが創造力なのかよく分からないが、質問にポンポンポンポン答えなければ、面接試験はおしまい。クオリティーなど、2の次である。
 
 アメリカ人は笑い出し、「子供のおもちゃを自作するなんて、まるでコンピューター・オタクみたいだな。シリコンバレーなんて行ったら自宅のガレージを改造してがちゃがちゃ作っているオタクがたくさんいるよ。

 でも心配しなくていいぞ。ゴールドマンに入社すれば、子供のおもちゃなどいくらでも買えるから。」
と言って立ち上がると、僕の手を握り、ガッチリ握手を求めて部屋を出て行った。

 代わりにミックさんの秘書のIさんがにこやかな笑顔で部屋に入って来て、
「お疲れ様でした。英語の面接だったから疲れたでしょ。」と、ねぎらってくれた。
 「いやあもう、万事休すのところまで行きましたが、かつかつ生き延びたって感じですね。」
 しかし面接はそれだけでは済まず、4次面接に呼び出されることになった。
                                        (つづく)

 【 億をかせぐ勉強法 】

posted by ヒデキ at 08:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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