2019年01月02日

商社株はなぜ安いのか?

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PBR(株式の安全度。たとえ倒産しても投資家に元本が戻ってくる水準が1倍)は株式の割安感を判断するのに使われる指数だ。PBRが1倍を割るということは、市場から「会社を解散して資産を分け合った方が、株を買うより利益を得られる」 とみなさされたことを意味する。

三菱商事は0.84倍
三井物産は0.69倍
伊藤忠商事は1倍
丸紅は0.75倍
住友商事は0.7倍です。

ちなみに、みずほ銀行は0.47倍
トヨタ自動車は0.94倍
ソフトバンクは5.49倍です。

一方で、商社の配当利回りは高く、4%前後である。






商社は資源ビジネスが活況だった00年代にはPBRが2倍から3倍と買われていました。しかし2010年代に入り資源ビジネスが苦戦すると1倍以下に陥りました。ただし業績面を見れば絶好調。2018年決算でも、三井物産をのぞく4社が過去最高益でした。

それでも5社のうち4社のPBRは1倍以下のまま。
商社は配当性向を引き上げることで価値を高めようとしている。各社とも、2019年度は20%〜30%を公約している。

これは、業績向上だけが原因ではなく、各社とも投資規律を強化したこと、世界中で投資資産価格が上昇しており、買いづらい状況であること、財務基盤の強化という3つの要素が余剰資金を生み出し、株主還元にまわっているようだ。

商社にとっては配当性向30%は大盤振る舞いかもしれないが、他業種をみれば予想配当性向40%超に達する企業もある。

株の買い手からは、「配当性向20%では物足りなさを感じる。今後、世界景気が後退したら、より配当によって銘柄が選ばれる」と言われる。

配当金とならぶ“自社株買い”については、各社でばらつきがある。
三井物産や伊藤忠は2017年に実施、伊藤忠は2018年にも実施したが、三菱商事は否定的ニュアンスがつよい。自社株買いに否定的な広報担当者の中には、「自社株買い期間の値上がり益は、利ザヤをかせぐ短期投資家だけを利することになる。長期投資家の株主還元をしたい」 との思いがある。

また、自社株買いをするくらいだったら、借入金の返済にまわして財務基盤を強化し、株価を上げたいとの思いもある。

商社の株価が低い理由として、配当への不満に加えて、投資家のあいだに 「商社には飛躍的な業績向上はのぞめない」 との定評もある。2019年度は4社が史上最高益を更新するが、伸び率は前年比6%だ。

株式市場で好まれるのは、最終利益が前年比6倍増に達した黒鉛電極メーカー(昭和電工、東海カーボン)や、2.5倍の化粧品メーカーなどだ。

成長期待をはばむのは、さまざまな事業を兼業する総合商社ならではの事業構造だ。
多くの事業を持っているあまり、A事業が伸びてもB事業が足を引っ張る。悪い意味でもポートフォリオ効果が出る。そのため、会社全体の業績が飛躍的に改善しにくい。

海外の機関投資家は、投資効率の悪さに苦言を呈する。なぜこんなにROE(株主資本利益率)が低いのか? なぜこんなに巨大な有利子負債を持っているのに、利益をあれしか上げられないのか? といぶかる。

こんな株価が低い商社だからこそ、安定性もあり、長期投資家には良いのかもしれない。

 【商社 産業と会社研究 2019年度版】

posted by ヒデキ at 21:52| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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