2017年07月09日

伊藤忠が口座持たぬ個人間の融資を仲介 インドネシアで参入

 伊藤忠商事はインドネシアでIT(情報技術)と金融を融合したフィンテック事業に参入する。スマートフォン(スマホ)を使う個人間の融資仲介事業で、現地の関連企業に約5千万ドル(55億円)を投じる。アジアは未発達な金融インフラを逆手にフィンテックへの関心が高まりつつあり、外資企業の参入が本格普及を後押ししそうだ。

 伊藤忠は今夏をめどに、現地大手財閥シナルマス・グループのフィンテック子会社、PDP社(ジャカルタ)の株式を取得する。出資比率は3割以上となる見通し。

 PDP社は融資したい個人と借りたい個人をつなぐソーシャルレンディングを提供する。「ピア・ツー・ピア(P2P)」融資とも呼ばれる。現地では免許制度に移行し、同社は今年4月に第1号で取得した。2018年に本格サービスを始める。

 借り手、貸し手双方がスマホを使いネット経由で手続きできる。借りる人は融資額や調達期間を提示して貸し手を募る。貸す人は自分のリスクで借りたい人を選ぶ。銀行融資に伴う煩雑な手続きを省いて費用を抑えており、貸し手は銀行預金より高い金利を得やすい。

 インドネシアは銀行口座を持たない個人が多い。スマホの普及で、口座を持たなくても電子マネーで融資が受けられるサービスが始まっている。現地の国営銀行も参画した。同国のP2Pの総貸出残高は現在20億〜30億円のもようだが、伊藤忠は「数年後に1兆円規模に拡大する可能性がある」とみる。

 PDP社はこの2年間、携帯電話関連の電子マネーを手掛ける小規模事業者向けに融資する実験を行い、約8億円の残高がある。サービスの本格化にあわせ今後、日用品や雑貨を販売する小規模事業者など借り手を順次増やす。仲介手数料で収益を上げる計画で、数年後に貸出残高で4千億円を目指す。

 伊藤忠はノウハウを提供して、管理システムやコールセンターの整備を支援する。人材も派遣する方針だ。

 アジアでは中国でフィンテック活用が進んでいる。現地ポータル(玄関)サイトの網貸之家によるとP2Pの貸出残高は16年が約8千億元(13兆円)と、14年の8倍に増加。運用手段が限られる個人の貸し手を引き付ける。

 ただフィンテックは新分野なだけに金融当局の規制が万全ではない。中国のP2Pでは有利な運用をかたり資金を集める詐欺事件が発生するなど不祥事も相次ぐ。市場拡大には当局の規制強化が課題だ。

 伊藤忠は海外で消費者金融のアコムなどと共同でタイや香港で個人向け融資を展開。海外金融事業の純利益は数十億円に上り、新興国で事業を広げる方針だ。

 【 伊藤忠躍進の秘密 】

posted by ヒデキ at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊藤忠商事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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