2015年05月10日

マッキンゼーの知恵 (85)

大前研一ノート術.jpg

 メルマガ ”熱血日記” 5月10日号より配信しました! 購読方法は右側のタグより申し込み下さい。(月324円)

 『 お金の取れる頭脳ノート 』 大前研一が、日本を代表する経営コンサルタントとして活躍してきた陰には、ノート術があります。そんな秘密の技をご紹介します。

 (写真: IBMの天才開発技術者、故ドン・エストリッジにアドバイスした内容を数行のセンテンスに集約したノート。)

 ”1テーマ1ページで思考の流れを整理”

 私にとってノート術というのは他人の話を書き留めるためのものではない。あくまで自分の思考を整理するためのものである。

 たとえば差し迫った講演やミーティングがあるときには、早朝の1〜2時間デスクに向かって、時には風呂場やトイレで、あるいは行きがけのクルマの中で、気合を入れて今日の話の内容を考える。

 相手がどんな話を聞きたがっているのかを想定しながら、こちらとして言っておかなければならないことをメモにパパパッと書き出していく。

 何か一つのテーマに関して、頭の中にあるデータを取り揃えて一つの考え方の塊にする。
 
 「結論はこう。その理由はこれ、これ、これ、3つある。」というピラミッド思考が瞬間的にできるように訓練してきたから、テーマが決まればすぐに書き出すものが湧き出てくる。

 最終的な結論は何か。その結論を導き出すための論拠、そしてイグザンプルは何か。キーワードや数字、簡潔なセンテンスを交えて書き並べていく。日本語で話をする場合には日本語で、英語で話をする場合には英語で。

 ちなみに私は昔から縦書きだと頭が働かないため、すべて横書きだ。

 思考の流れを整理するのが目的だから、思いつくままにだらだらと何枚も書き連ねたりしない。基本的には1テーマ1ページ。一枚のメモに思考の塊をパッケージする。

 200万円の講演会でも500万円の講演会でも、30分の講演でも1時間半の講演でもすべて同じだ。一枚のメモで事足りる。それで、話が始まってみればいかにもその場で思いついたように話をする。

 実際、メモは手元に置いているが、ほとんど目を落とすことはない。一度話を始めれば、芋の地下茎のように考え方の塊がつながっているから、聴衆から目を離さずとも話が自然と流れてゆく。

 記憶でも記録でもない。要するに頭の中を整理するためにメモするのであって、集中してメモを書いた時点で目的は十分に達している。だからしばらく経ってから講演メモを読み返しても、何が書いてあるのかさっぱりわからなかったりする。

 “ 『企業参謀』 こそ、ノートの取り方の 「実例」”

 私のノート術の原点は中学1年生のとき。音楽の先生から、聴いた音楽のメモを取りなさいと言われたことがきっかけだった。たとえばベートーベンの交響曲第六番 『田園』 の第一楽章はどういう楽想か、それを聴いてどのように感じたか、音楽日記のようなものを書くように指導されたのだ。

 品行方正(?)な大前少年は先生の言いつけを守り、大学院に行くまでの12年間、クラシックを聴くたびに音楽日記をつけ続けた。高校ではブラスバンドに、大学からはオーケストラでクラリネットを吹いていたが、おかげでほとんどの作曲家のだいたいの作品が頭に入っている。

 日々の出来事を振り返る日記の趣味はまったくないが、音楽日記をつけるようになってから自分が考えついたことや学んで理解したことを書き出す習慣がいつのまにか身についていた。

 それを発想術や思考の整理術として仕事に本格的に活用するようになったのはマッキンゼー時代だ。
当時は20代後半。それまでの9年間、大学と日立製作所で原子力ばかりやっていたから、経営コンサルタントはまったく未知の世界だった。

 そこでマッキンゼーがどういうことをする会社なのか、経営とは何か、まず自分なりに気づいたこと、考えたことを大学ノートにメモして書きとめた。

 それがプレジデント社の編集者の目にとまって世に出たのが処女作である 『企業参謀』 (プレジデント社) である。あの本は私のつけていたメモそのものなので、ノートの取り方に関しては「実例」 なのである。

つまり他人の言ったことでなく。。。(以下、メルマガ ”熱血日記” 5月10日号より)

 (つづく)

 【 企業参謀 − 戦略的思考とは何か 大前研一 】

posted by ヒデキ at 13:51| Comment(0) | TrackBack(0) | マッキンゼーの知恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

この記事へのトラックバック