2015年03月02日

英語のシャワー (84) シリコンバレーの起業家たち

 「ブログを読んでいるだけで自然と英語力が身に付いた!」と言われるようにこのコーナーを充実させていきます。連載記事はカテゴリー欄より通してご覧になれます。

 日本語文を読んでから英文を読んで下さい。
 本気で上達を考えている人は、英文を5回読んで暗記して下さい。外国人並みの表現力が身に付くからです。

 “Great programmers are sometimes said to be indifferent to money. This isn’t quite true. It is true that all they really care about is doing interesting work.

 But if you make enough money, you get to work on whatever you want, and for that reason hackers are attracted by the idea of making really large amounts of money. ”
– Paul Graham



 「 偉大なプログラマーは金に関心がない、と言われることがある。これは必ずしも正しくない。ハッカーたちが本当に大切にしているのは、面白い仕事をすることだ。でも、十分な金を稼げば、それからはやりたい仕事ができる。そしてこの理由から、ハッカーは莫大な金を稼ぐことに惹かれる。」

 − ポール・グレアム、米国のLispプログラマーでエッセイスト
 
 シリコンバレーでは、ハッカー(技術オタク)の価値が昔から正しく理解されていて、そのことが地域の競争優位の源泉となってきました。個人の頭の中から価値を創出できるハッカーと、少人数で難題に挑戦して全力疾走するベンチャーとの親和性はものすごく高いからです。

 インテル、アップル、グーグルなどベンチャーから急成長した巨大企業は、大企業になってもハッカーの価値を尊重し、経営戦略に反映しています。たとえばインテルでは、ハッカータイプの超一流技術者を、Achiever (アチーバー) と呼んで厚遇し、自由な環境を与えて、成果に応じてフェローにまで昇格させる人事制度なども用意しています。

 お金とやりがい。これがハッカーとベンチャーをつなぐ論理です。「好きなことをする」 「やりたいことをして暮らす」自由を得るために、人生のある時期にベンチャー創造に関わって成功し、経済的自由を勝ち取れば、あとは一生、自分がつくりたいモノをつくりながら自由に生きていく権利を得る、という考え方なのです。

 90年代以降は、ハッカーにとって、ベンチャー以外に活躍の場が広がりました。オープンソースの世界です。オープンソースとは、あるソフトウェアのソースコードをネット上に無償で公開し、世界中の不特定多数の開発者が自由に参加できる環境を用意することで、そのソフトウェアをさらに開発していく方式のことです。

 すべての情報はネット上でオープンにされ、世界中の誰もが新しいソフトウェアの開発に参加できる環境が生まれたのです。オープンソースの世界には 「Result-oriented Meritocracy (結果志向型実力主義) 」 が貫かれています。

 難題を解決して「動く良いコード」をたくさん書いたハッカーが無条件に尊敬されます。大学名も会社名も全く関係なく、プロジェクトにおいて素晴らしい結果を示した人が賞賛され、敬意を払われる存在になっていく。

 ハッカー集団においては、誰かが書いたコードの良し悪し、プログラミング能力のレベルは完全に見抜かれ、理解されてしまいます。コードの素晴らしさのみで、互いの序列は決まる。自分を理解してくれる周囲のハッカーによって評価され賞賛されることを何よりの喜びとします。

  金銭的動機のないオープンソースの開発者たちはもちろん、シリコンバレーのハッカーたちのコミュニティでも、内発的な動機づけをとても重視します。

 優れたものが生まれるときのモチベーションは、報酬ではなく、自分がやりたいと思うことを思い切りやり、その意味を理解する仲間がきちんと賞賛してくれることにあるという考え方です。

 そしてこういう世界は、とにかく没頭している度合の深い人が勝つ。

 またハッカーたちは、多かれ少なかれ皆、カウンターカルチャー的な気分を内包しています。テクノロジーでできることははっきりと彼らの目には見える。でも現実はそうなっていないことが多い。当然、社会への潜在的な不満足感が生まれますから、自分たちの手を動かして新しいものをつくり出そうとするのです。

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 “At heart, I’m a techie nerd. I love science because it’s a huge multiplier of resources. You need the right policy. You need the right market environment.
But the one thing that multiplies resources by a factor of 10 is science.

It has the potential to do something not 10 percent better or 20 percent better but 100 times better, and that power is what’s so exciting to me. “

– Vinod Khosla

“私は根っからのテクノロジー・オタクだ。そして科学を愛する。
科学はリソースを何乗にも膨らませるから。正しい方針と正しい市場環境は必要だ。
でもケタ違いにリソースを膨らませるのは科学だけ。
科学は、何かを10%や20%良くするのではなく、100倍良くする可能性を秘めている。私はその力に興奮を覚える。”
 − ビノッド・コースラ、サンマイクロシステムズの共同設立者、ベンチャーキャピタリスト

 「私は根っからのテクノロジー・オタクだ」 と宣言するビノッド・コースラは、サン・マイクロシステムズの共同創業者の一人で、サンの創業期にCEOを務めました。現在は自己資金を投じて設立したコースラ・ベンチャーズというベンチャーキャピタルで、ITおよび代替エネルギー関連のベンチャー投資活動をしています。

 シリコンバレーでは彼のように、アントレプレナーとして成功した技術者が投資家として活躍しているケースも非常に多く、コースラのような人は、いくつになっても科学を愛し、「技術者の眼」 で世界を見続けて投資します。

 “ I don’t think of myself as a business person. I never have. I mean, I know how to do that part; I know how to handle it. But I’ve never enjoyed it. I love technologies. I love the future. I love thinking about solutions. Then once I believe them, I love to evangelize.”
- Vinod Khosla

“私は自分のことをビジネスパーソンだとは思っていない。一度もそう思ったことがない。ビジネスのやり方は知っているけれど、一度も楽しんだことはない。
私はテクノロジーを愛する。未来を愛する。
解決策を考えることを愛する。そしてその解決策を信じるに至ったら、それを伝道するのを愛する。”
 − ビノッド・コースラ

 世の中を大きく変えるイノベーションは、10%良くなったとか20%良くなったというレベルでは駄目。一桁、二桁の差異が出るような、「100倍良くなった」 と感じられるような斬新さがなくてはならない。

 それは唯一、科学の力によって生み出される。その力によって、イノベーションが真に社会を揺り動かす。そこに興奮するのだとコースラは言います。

 新しい科学の種自体は、いまも大学や大企業の研究所といったところから生まれてくることが多いものの、それを一つの産業テクノロジーとして昇華できるかどうかは、アントレプレナーと技術者の力にかかっています。

 コースラの二つ目の言葉の最後に evangelize という宗教用語が出てきます。“福音を説く” “伝道する” という意味ですが、シリコンバレーのベンチャーでは自らの新しい製品やサービスを世界に広めていくときにこの言葉を使います。

 【 引用: ウェブ時代 5つの定理】



posted by ヒデキ at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語のシャワー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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