2015年02月08日

総合商社の機能と組織 (32) 機械部門 

 “ 自動車〜機械部門の収益の稼ぎ頭 ”

● 系列メーカーの輸出から始まり、市場の変化により多角化の動き
● ディーラー事業、金融事業への注力で販売力を強化するも、世界経済に大きく影響される点は変わらず。

商社の自動車ビジネスは、銀行を頂点とする企業集団の中で関係の深いメーカーの輸出を手がけてきた。具体的には、日産自動車は丸紅、マツダは住友商事と伊藤忠商事、三菱自動車は三菱商事などがそれぞれ完成車の輸出を手がけた。

 メーカーは、欧米のような巨大市場を自らコントロールし始め、商社はさらに輸出を拡大
すべく単独もしくはメーカーと合弁で輸入卸 (ディストリビューター事業) に乗り出した。

 アジアでは各社が自動車製造合弁事業に一部出資したが、欧州での地域争奪線で出遅れた三菱商事はいすず自動車とタイで、三菱自動車とインドネシアで、それぞれ大きなリスクを負って製造事業に参画した。

 80年代になると、日米の貿易摩擦問題でメーカーが現地生産に切り替え始めて、環境がさらに変化、この頃よりディーラー事業やオートローン事業に進出するなど多角化の動きがみられ始めた。

 90年代になると、アジア危機や自動車メーカーのグローバルな業界再編で日産やマツダが外資の傘下に入り、商社はディストリビューターから外されるなど、さらに厳しい状況に追い込まれ、アジアの自動車生産事業は現地市場の低迷による経営不振に陥った。

 その後、商社はディーラー事業の拡大と金融事業への注力により販売力を強化、存在意義を発揮し、特に金融事業は欧州、アジアで各社とも収益に貢献する事業が成長している。

 また、アジア経済の回復で現地の自動車製造事業が復活、三菱商事のタイとインドネシアの自動車事業は機械グループの業績拡大に大きく寄与した。三井物産は米国の大手小売ペンスキーグループに出資して、川下での事業拡大に乗り出し、ロシアや東欧などの新興市場の拡販に注力する商社も出てきた。

 しかし、2008年9月の金融危機以降は、再び厳しい状況に逆戻りしている。

 “ 商社機能を発揮する船舶・建設機械”

● 海運会社と船主の仲介取引に加え、保有船舶の傭船需要も絶好調
● 建設機械はアジア経済の回復や資源開発プロジェクト向けの需要増などで環境が好転した。

    船舶ビジネスの主要分野は、新造船・中古船の仲介売買、傭船ビジネス、ファイナンス業務、保有船の管理・運行業務、舶用機械取引などで、一部の商社ではEPSO(海洋プロジェクト)を含むところもある。

 従来は国内の海運会社などのオペレーター向けに傭船契約を結び、造船メーカーの船台の空き情報の提供、ファイナンス機能の供与など、まさに商社機能を駆使して四国や中国地方の船主に新造船の仲介取引を行う展開が中心であった。

 しかし、国内開運会社の再編により、傭船の引当先に困った商社は欧州のオペレーターとの取引開拓に注力。これが奏功して1990年代後半より復活した。

 さらに中国・アジア向けの新造船取引などが好調で業績拡大に拍車が掛かっている。船舶の保有・運行管理業務では、大手商社で20隻前後の船舶を保有して、主にオペレーター向けに傭船に出しているが、最近は海運市況高騰により業績が良い。

 “事業型への転換で好業績”

 建設機械部門は、バブル崩壊以降の長い国内建設不況とアジア危機の影響を受けて、非常に厳しいリストラを余儀なくされ、縮小の一途をたどってきた。しかし、2000年頃からの中国の建設ブームに伴う建機需要の急伸、アジア経済の回復に伴う一般建設機械の需要増、資源開発プロジェクトの増加に伴う鉱山機械の需要増などで外部環境が好転している。

 商社では、住友商事などが世界の主要市場にディストリビューターからディーラーなどの事業を展開、単なる輸出ではなく、事業展開による収益構造の転換で好業績を上げているほか、三菱商事は国内の建機レンタル大手のニッケンを買収し、この分野で収益大手に躍り出た。

 その他の機械分野には、航空機と一般産業機械があり、航空機では輸入代理店業務、航空機リース、オペレーティングリース、防衛機器関連の輸入などを手がけている。

 (つづく)

【 引用: 最新<業界の常識> よくわかる商社 】



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posted by ヒデキ at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 総合商社の機能と組織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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