2015年02月07日

英語のシャワー (83) 『シリコンバレーの起業家たち』

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 「ブログを読んでいるだけで自然と英語力が身に付いた!」と言われるようにこのコーナーを充実させていきます。連載記事はカテゴリー欄より通してご覧になれます。

 日本語文を読んでから英文を読んで下さい。
 本気で上達を考えている人は、英文を5回読んで暗記して下さい。外国人並みの表現力が身に付くからです。

 " What gets us up in the morning and keeps us here late at night is technology. From where we sit, advanced technology is everything." – Jeff Bezos

「朝起きてから夜遅くまで、テクノロジーのことで頭がいっぱいだ。これからは先端的テクノロジーがすべてだ。」
ジェフ・ベゾス、アマゾンドットコム 創業者 兼 CEO

 シリコンバレーを駆動する三つ目の定理、アントレプレナーシップやチーム力をその根底で突き動かしているものとは、「技術者の眼」 です。

 シリコンバレーの中核にあるのは、サイエンスやテクノロジーを愛する人たち独特のものの考え方、価値観であり、それが会社と産業全体を牽引しています。

 いわゆる旧来の資本家や投資家や金融機関、文系的な管理者の論理とはまったく異なる考え方が働いています。そしてその根底に流れるのは、西海岸特有のカウンターカルチャー(伝統的・支配的な文化に対抗する文化) から強く影響を受けた考え方です。

 中枢にあるのは資本の論理ではない。個に力を与えるテクノロジーへの信仰にも似た熱情であり、理系の技術者特有の気質です。

 シリコンバレーには 「最高に優れた技術頭脳」 が世界中から集まり、テクノロジーの力でより良い社会や未来を創り出すことが出来ると本気で信じている理系のリーダーたちによって、そのパワーが集結されています。

 21世紀のビジネスは、科学と技術を抜きにして考えることはできません。IT,バイオ、エネルギー、材料といった事業のタネから、グローバル・ロジスティックスのような事業のプロセスに至るまで、その仕事における最先端技術の意味づけを知ってはじめて戦略的思考ができる、そういう時代を私たちはいきているのです。

 ” The world’s clearly a better place. Individuals can now do things that only large groups of people with lots of money could do before.” – Steve Jobs

「明らかに世界は “良い場所” になっているよ。これまでは大金を持った大きな組織の人たちでなければできなかったことも、個人ができるんだから。」
 故スティーブ・ジョブズ、アップル 創業者

 これは、 「技術は本当に世界を “より良く” しているのだろうか」 という問いにジョブズが答えた言葉です。日本にもかつて、松下幸之助の 「水道哲学」 という考え方がありました。

 道端の水道の水を通行人が飲んでもとがめられないのは、量が多くて価格があまりにも安いから。自らの使命は、水道の水のごとく電化製品を安価に無尽蔵に、貧しい日本にあふれさせるという考え方でした。

 シリコンバレーの 「より良く」 の一部には、間違いなくこの「水道哲学」 的な要素があります。そしてそれに加えて、個人の可能性を広げることは善であるという考え方がある。

 「個人をエンパワーメントする道具を、世界中の人たちに広めることは絶対的に良きことなのだ。」
という信仰にも近い考え方、それがこの地にはあふれています。

 アントレプレナーシップを支える “常軌を逸した熱” は、「やりたいことをやる」 という気持ちと、「社会をより良くしたい」 という思いの組み合わせによって持続します。お金が最優先では、長期にわたってそういう熱が持続しません。

 むろん成功すれば信じられないほどの富を手にすることができるのだけれど、あくまでもそれは副次的なもの。倫理性と経済性が融合したシリコンバレーのそんな独特な論理が、仕事の面白さを倍増させ、“働く意欲” の強い源になっているのです。

 ”When individuals feel they can have an impact on issues that they care about, it leads to making the world better place. To do that, we need to create an environment in which they can exercise their freedom of choice.” – Pierre Omidyar

 “個々人が、自分の関心を持つ事柄に影響を及ぼすことができると感じられれば、世界をより良い場所にすることができる。そのためには、人々が選択の自由を行使できる環境をつくる必要がある”

- ピエール・オミディア (下記参照)

  再び“世界をより良い場所に” という言葉ですが、個に力を与えることこそが “世界をより良い場所に” 導くのだというeベイ創業者のピエール・オミディアの言葉は、こういう考え方をよく表しています。

 グーグルの人たちも同じ言葉をひんぱんに使います。グーグルはインターネットが体現している 「知と情報をあまねく流通させることで個の自由を徹底的に模索する新しい文明」 の先兵としての役割を果たそうとしています。

 個人がより自由になるために、情報と言う新しい強力な武器を与えよう、それが 「世界をより良い場所に」することになるのだと、グーグルは考えます。

 グーグルのCEO、エリック・シュミットはよく、 
「グーグルはコンピュータ・サイエンティストが経営している会社だ」 と言います。

「コンピュータサイエンティストが経営する」 という言葉の裏には、今述べてきたような技術者たちが共通して有する思想を実現することが、何よりも優先するのだという意味が含まれています。

 情報とは一部の人たちに寡占されるべきものではなく、あまねく誰もが入手できるべきものであると考えます。

 アップルのiPod や iTunes開発の背景にも、現在のテクノロジーを使えばもっと広く音楽を人々に届ける方法があると考え、既存の音楽産業という権威に反抗して、その世界に革命的変化を起こそうという意識がはっきりあります。

 この自由や選択肢を押し広げ、個を円パワーする方向でテクノロジーが実現できる可能性が見えたのに、アンシャン・レジーム(旧体制、法律や業界慣習、秩序など) がそれをはばんでいるときは、現状に疑問を抱き、その構造を立て直したいという反骨心で、リスクを取って果敢に攻め込む。

 そういう考え方によって、技術者主導のイノベーションが次々と可能になるのです。

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 (ピエール・オミディア:  イラン人の両親のもと、パリに生まれる。6歳の時にアメリカに移住し、ワシントンD.C. で育つ。高校時代にコンピュータへ関心を持つようになり、タフツ大学で計算機科学を専攻する。1988年に卒業後、アップルコンピュータの子会社であるクラリスへ入社。MacDraw の開発に携わった。

 1991年に3人の友人とともに Ink Development を共同設立。eコマース事業の開始に伴い1993年に eShop と社名を変更され、マイクロソフトに買収された。1994年末に退社し、General Magic へ入社。

 1995年、オミダイアは長期休暇を利用して eBay の基となるコンピュータコードを書き上げた。試験的に Auction Web の名称でネットオークションサービスを開始。期待を上回る需要を目にすると General Magic を退社してサービスを事業化し、1997年に eBay と改称。1998年9月に株式公開を果たした


 【 引用: ウェブ時代 5つの定理】


posted by ヒデキ at 09:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 英語のシャワー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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