2015年02月03日

商社マンの仕事 ”彼女が最前線に行く理由”

 太田麻耶、 伊藤忠商事 機械カンパニー 

 「水からロケットまで」 を商う総合商社。その仕事場は、この地球上のすべてと言ってもいい。たとえばグーグル・アースのような視点で、世界中で働く伊藤忠の商人たちの姿を想像してみてほしい。その視点をアルジェリアで固定してズームすると、彼女が見えるかもしれない。

 機械カンパニー、自動車第一課。中東とアフリカに自動車を輸出する課に所属する。アルジェリア、モロッコ、ガボン、コートジボワールなどフランス語圏の担当だ。入社6年目。
 
 毎月、1週間は海外へ出張する。母親はフランス人。旅行が好きで、ふだん旅では行かない国で仕事をしたいと思ったのが、総合商社を志望した理由だ。最終的にはアルジェリアに強かった伊藤忠商事を選んだ。 
「アルジェリア系フランス人の叔母がいるから、その国に興味があったのです。」

 インフラの整っていない国で車を売るのは大変なことだ。
「まず、きれいなガソリンでないと車が壊れてしまうので、流通するガソリンについて情報調査します。」

 イラクでも情報の少なさに苦しんだ。日本の自動車メーカーが新規参入したくても、ガソリンの質も、現地の道路事情も、そもそも車が何台売れているのかも分からない。メーカーの担当者と一緒に、競合メーカーのボンネットを一台一台開けて写真を撮って回った。

 エンジンの種類から、どういうエンジンオイルが流通しているのか、ガソリンスタンドにはどういうタンクがあるのかまで、二人三脚で徹底的に情報を集めた。その甲斐あってついに一部モデルの導入が決まった。

 「あのときはうれしかったですね。本当に」。

 そもそも、女性がイラクに出張することに驚く。
「総合職の女性の中では、いちばん僻地に行っているという自負があります。女性だからという理由で行かせない上司もいますが、私は任せてもらえたので、モチベーションにつながりました。」

 でも、怖さはないのか。
 「幸い、怖い思いをしたことはありません。両親に心配させてしまって、イラク担当を外されたときはすごく喜んでいましたが。」

 それでも、今の仕事の大変なことは、面白いことと同義だと言う。

 「新しい国で見たこともないものや人や文化に出会うのは、心の底からワクワクします。」
アルジェリアでは朝の4時にコーランの音で目が覚めることもある。考え方の違う人たちと同じ目標に向かって進むのは、難しいからこそ面白い。

 時には女性であることがネックになったりするのか。
 「出張先では圧倒的に女性が少ない分、珍しいから会議に出してもらえることもあります。」
女性には女性の働き方がある、ということだ。

 「でも現地の方から、まだ結構しないのかってお説教されますけど。」 と笑う。
今後は、駐在に出て最前線で働くことが希望だ。

 「やはり、最前線を知らずしてビジネスはできないんじゃないかなって思うので。」と、白い歯をのぞかせた。日本の商社は、おもしろい。

 伊藤忠商事は、私です。
 
 

posted by ヒデキ at 21:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 商社マンの仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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