2014年10月02日

【 創造力の学校 3 】

 創造力( Creativity ) のある人と無い人の間には大きな違いがあります。創造力のある人は、平凡な人が見たらびっくりするくらいの行動力があることをしばし目にします。オリジナルな発想をもつクリエイティブな人は、自分の発想が正しいことを検証しようと、実行に移すからです。

 世の中の常識、既成概念にまずは疑問を挟み、「本来こうあるべきだ」 と勝手に妄想するところから創造力は生まれてくるのではないでしょうか。

 今週の新聞に、イーロン・マスクの発想がどこから来るのか、その沿革をたどる話が特集されていましたのでご紹介します。

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 「地球環境は危機にひんしている。人類を火星に移住させなければならない」。そう語った学生のイーロン・マスク(現テスラ・モーターズ最高経営責任者)を周囲は「クレージー」だと相手にしなかった。

 それから20年。ゼロから始めた挑戦がトヨタ自動車や米ボーイングが君臨する巨大産業を揺るがしている。
 
 航続距離が500kmを超える電気自動車(EV)をヒットさせ、自動車業界の常識を覆した。宇宙ロケットの打ち上げを成功させ、NASAから有人宇宙船も受注した。EVやロケットで実績を残し、産業構造を激変させつつある男の素顔とは。

 世界のエコカーの盟主交代につながりかねない動きが水面下で進んでいる。トヨタ自動車は、EVベンチャーの米テスラ・モーターズと2014年内にも新たな取引を行う準備を進めている。対象はエコカーの販売で削減できる温暖化ガスの排出権だ。

 米国ではカリフォルニア州などが自動車会社にエコカーの販売を義務付けている。トヨタが得意なハイブリッド車は、少ないながらも温暖化ガスを排出するため、2017年からエコカーの対象外となる。トヨタは基準達成が難しくなるため、EV販売を伸ばすテスラから排出権を購入する見込み。同州の規制は世界の潮流を先取りしており、この取引は大きな波紋を呼びそうだ。

 トヨタ社長である豊田章男が2014年3月に同州で会っていた男こそが、テスラCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク(43歳)だ。EV、宇宙、太陽光…穏やかに破天荒な夢を語る

 マスクは今、最も危険な経営者だ。穏やかな語り口や、はにかんだような表情とは裏腹に、既存の産業界が作り上げた構造を破壊しようとしているからだ。

 マスクは主に4つの破天荒な夢を同時に掲げている。「すべてのクルマをEVに」「激安で宇宙へ」「太陽光をエネルギーの主役に」「ジェット機より速く都市間移動を」。自動車、宇宙、エネルギー、鉄道はいずれも巨大な産業で、世界を代表する大企業が君臨する。

 マスクがこれらの目標を達成すれば既存の業界秩序を壊し、産業革命と呼べるほどのインパクトがある。脚光を浴びているのは、目標を掲げるだけではなく、常識を覆す成果を実現する有言実行の人だからだ。

 2004年に創業期のテスラに出資し、会長を経てCEOに就任。2010年には米国の自動車会社として54年ぶりの株式上場を果たした。高級EV「モデルS」をヒットさせ、2013年は2万2477台、2014年は3万5000台以上を販売する勢いだ。

 市場はテスラの将来性を高く評価する。今や株式時価総額はおよそ3兆7000億円と富士重工業やマツダを上回り、日産自動車に迫りつつある。ただ、業界の常識や秩序に反するので、常に「クレージー」だと冷ややかな評価が付きまとう。

 自動車業界において、EVは普及しないというのが長年の定説だった。1回の充電当たりの航続距離が短く、欠点だらけのクルマという評価が染み付いていた。航続距離を伸ばすためには大量の電池を積まなければならず、コストが膨らみすぎる。だから多くの自動車大手は短距離移動用の小型EVを開発してきた。

 マスクは全く逆のアプローチをする。航続距離が長い高級車の開発に狙いを定めた。自動車用では高価な専用電池を使うのが常識だったが、ノートパソコンなどで使われるサイズの安価な民生用電池を大量に使う方法を選んだ。2008年に発売した1000万円超のスポーツEV「ロードスター」は、「ポルシェ」並みの加速性能が評判を呼び、ハリウッドスターなどが飛びついた。

 猛烈に働く経営者だ。「起業家は毎週100時間、地獄のように働くべきだ」が持論。経営者でありながら70〜80%の時間を設計や技術関連の仕事に割き、エンジニアと毎週議論を交わす。こうして開発したモデルSは500kmの航続距離を実現し、クールな高級車として富裕層の心をわしづかみにした。

 EVはエンジン車と違い、燃料に石油を使わないため、持続可能な輸送システムの実現に役立つが、既存の自動車メーカーにとっては脅威だ。EVの構造は比較的シンプルで参入障壁が低い。新興国メーカーなどの台頭で価格競争が激しくなり、既存の大手が収益を上げにくい市場になり得る。

  ” 私財投入もいとわない、「息をしている限り事業を続ける」”

 奇想天外な目標とアプローチだけにマスクが進む道には常に困難が付きまとう。2008年には経営危機に直面した。テスラではロードスターの商品化に手間取り、出荷が予定から大幅に遅れていた。それと同時に2002年に設立した宇宙ロケットベンチャー「スペースX」も経営が行き詰まっていた。

 同社は「激安で宇宙へ」行くことを目標としていたが、一度も打ち上げに成功していなかった。打ち上げに3回失敗し、資金は底を突く。誰もが「素人がロケット事業に参入するのは無謀だ」と思った。

 信用不安の声が高まる中、マスクはテスラとスペースXの経営を私財をなげうって支えると宣言。社員の賃金を自分の小切手で払い始め、「息をしている限り、事業を続ける」と言い放った。

 株主から経営を委託されているとの意識が強い米国の経営者では珍しいケースだ。「何も残らない状態だった」ため、失敗すれば自己破産していただろう。社内の水まで有料にし、なりふりかまわぬコスト削減を実践した。

 マスクの執念は天に届いた。4回目のロケット打ち上げに成功。「これで失敗していたらスペースXはなかった」。と振り返るほどの窮地だった。同年に宇宙輸送のコストを抑えたい米航空宇宙局(NASA)と思惑が一致し、16億ドル(約1700億円)のロケット打ち上げ契約を獲得。

 2012年には民間で初めて国際宇宙ステーションへの物資輸送に成功する。

 面白くないのは、国と密接な関係を築いてきた既存の宇宙関連企業だ。マスクが低価格でロケットを打ち上げれば、価格競争が激しくなり、利益を確保しづらくなる。米ロッキード・マーチンと米ボーイングの合弁企業、ULAなどが、ロケット打ち上げの受注競争でスペースXと火花を散らしている。

 2014年9月16日にはNASAから業界を震撼(しんかん)させる発表があった。スペースシャトルの後継機として、2017年に初飛行を目指す有人宇宙船の開発を、スペースXがボーイングとともに受注したのだ。

 当初はボーイング1社が受注すると見られていたが、スペースXがコスト競争力などをアピールして下馬評を覆した。スペースXは開発費用として26億ドル(約2800億円)を獲得した。

 " オフィスで寝泊まり、1日1ドルで暮らす極貧時代も "

 そもそもマスクは何に突き動かされ、革命を起こそうとしているのか。資産家の出身ではない。1971年に南アフリカ共和国で3人兄妹の長男として生まれた。19歳でカナダに渡り、24歳で起業するまで貧しい生活が続いていたという。

 「起業時に借りたオフィスに寝泊まりし、近くの青少年向け施設でシャワーを浴びて暮らしていた」と振り返る。1日当たり1ドルで生活していたとの逸話さえ残っている。

 マスクを一躍有名にしたのは20代後半で立ち上げた電子決済ベンチャー「ペイパル」の成功だ。31歳の時にペイパルがイーベイに15億ドル(約1600億円)で買収され、創業メンバーのマスクも大金を手にした。この資金を使い、スペースXやテスラを起業した。

 35歳の時に太陽光発電ベンチャーのソーラーシティにも出資し、会長に就任。住宅や工場に太陽電池を無料で設置し、リース料を受け取って収益を得るモデルだ。さらに2013年、太陽電池などを活用する次世代交通システムの事業計画を発表。

 ジェット機より速い時速1200kmでロサンゼルスとサンフランシスコを30分で結ぶという。既存の高速鉄道計画と比べて大幅なコスト削減が可能と訴えた。

それぞれ関連が薄そうな複数の事業を同時に進めるのは、「火星に人類を移住させる」という究極の目標があるからだ。マスクは大学で物理学を学んでいた頃から、「持続可能なエネルギーを普及させなければ地球は滅びる」という危機感を持っていた。

 そこで人類の将来に影響を及ぼす事業として、インターネットと宇宙、持続可能なエネルギーの3つに取り組むことを決めた。初めはマスクのことをクレージーだと相手にしなかった周囲もEVやロケットの成功を見て、無視できなくなりつつある。

 夢を語る一方で、着実に実績を積み重ねており、資金調達も巧みだ。テスラは投資家から多くの資金を集めているほか、2010年には米政府から4億6500万ドル(約500億円)の融資を受けたことがある。

 マスクは壮大な野望をどこまで実現できるのか。EVをクルマの主役にし、激安で宇宙に行けるロケットを開発できれば、21世紀の産業革命と言えるほどのインパクトを社会に与えるのは間違いない。

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イーロン・マスク(Elon Musk)。1971年6月、南アフリカ共和国生まれ。95年、米ペンシルべニア大学で経済学と物理学の学位を取得後、米スタンフォード大学大学院に進学するも中退。99年、インターネット決済のペイパルの前身企業を創業。2002年、宇宙ベンチャーのスペースXを起業し、同社CEO(最高経営責任者)。2004年に、創業期のテスラ・モーターズに出資し、2008年から同社CEOも兼任。映画「アイアンマン」の主人公のモデルとしても知られる

 【 イーロン・マスクの野望 未来を変える天才経営者 】

 
posted by ヒデキ at 21:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 頭の回転が速くなる方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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