2014年07月10日

総合商社の機能と組織 (31)

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  機械部門 @ プラント、自動車、船舶、航空機など広範なビジネス領域 

 ◎ かつてはプラントや自動車など機械部門の輸出事業が収益の柱
 ◎ アジア経済の回復ととともに、回復基調にのったものの、リーマンショックにより一転減益に。
 
 機械部門は、プラント(電力、化学、通信、製鉄など)、自動車、船舶、航空機、建設機械等々、ビジネスの領域が非常に広範囲にわたり、プラント・船舶と輸送機・建機といった具合に部門を分けているところも散見される。

 かつては会社全体の売上総利益の半分近くを占めた商社もあったほど、収益の柱として活躍し、当時はプラントや自動車など輸出取引がビジネスの主流をなした。

 しかし、1997年にアジア危機が起きると、プラント案件の建設延期・凍結が相次いだほか、ビジネス形態が資産効率の面で見直され、凋落の一途をだとった。2003年頃より、アジア経済の回復と、トレードから事業主体への収益構造の転換でようやく上昇に転じた。

 その後、5年にわたり、新興国の旺盛な需要を背景に、自動車、建機、プラント、IPP (独立系電力事業者)、船舶など総じて好調に推移、資源・エネルギーと共に商社の収益拡大の原動力となった。

 しかし、2008年9月のリーマンショック以降は環境の激変で各社とも減益に転じ、景気に敏感な危うさを露呈することとなった。

 “好不況の影響を受けやすいプラント・プロジェクト関連ビジネス”

 プラントは対象分野に応じて、電力、化学、製鉄、通信などの各種プラントに分類される。商社のプラントビジネスは、仕込みから成約・受注まで長い年月を要し、大口案件の受注件数などの状況次第で、毎年の成約・受注額が大きく変動するなど好不調が激しい。

 これまで1997年のアジア危機では大きな打撃を受けた。その後、金融機能を発揮したプロジェクトファイナンスの組成によるリスク分散と、プラント建設向けのEPC(フルターンキー) の取扱拡大、IPP (独立系電力事業者) など自らリスクを負った事業への参画などにより、バランスの取れた収益構造をめざすのが各社の戦略となった。

 電力プラント関連分野には、国内電力会社向けの火力・水力・原子力の各種発電プラント及びメンテナンスに絡む補修部品の供給、海外の国営電力会社やIPP事業向けの発電プラントの輸出とEPCの供給、そして海外IPP事業と国内電力小売事業などがある。

 IPP事業は、これまで三菱商事が米国で、丸紅がアジアなどで積極的に展開してきたが、最近は三井物産と住友商事も活発に出資している。資源投資とともに、各社が電力事業に積極的なのは、エンロンの倒産により米国でIPP事業の淘汰が起こったこと、アジアの旺盛な電力需要、中東の電力事業の民間への開放などの要因が背景にある。

 IPP事業の参画に際しては、当該案件に対して自らEPCの受注も狙うところが多く、単なる事業投資だけではすまさないのが商社らしい。

 IPPは長期売電契約で安定収益を得られるのが魅力で、景気に業績が左右される機械部門の収益基盤の下支えとすべく、各社ともコア分野に位置づけ注力している。

 特にここ数年は大型案件への参画が相次いでおり、買収金額または総事業費が1,000億円を超える案件がいくつか見られる。

 “その他プラントとインフラ”

 化学プラントとエネルギープラントの取引形態は海外向けの輸出などが中心で、プロジェクトではかつての三井物産のイランジャパン石油化学(IJPC)、最近は丸紅のインドネシアのエチレンセンター、チャンドラアスリなどが挙げられるが、いずれも経営にインパクトを与える問題案件となった。

 インフラ関連プロジェクトには通信プロジェクト、港湾設備、上下水道設備、鉄道交通プロジェクトなどがある。

 (つづく) 

 【 引用: 最新 業界の常識 よくわかる商社 】


posted by ヒデキ at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 総合商社の機能と組織 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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