2013年11月17日

MBA(経営大学院)の知識 (5) 

 欧米企業の経営陣の多くはMBAを取得しています。
ハーバード・ビジネススクール、MITスローン・スクール、UCLAアンダーソン・マネジメント・スクール、ノースウェスタン大学ケロッグ・スクール・オブ・マネジメント、スタンフォード大学経営大学院など、多くの名門ビジネススクールがあります。

 国際競争が激化する中で、若手ビジネスマンが、欧米のビジネススクールに2、000万円もの準備金を貯めて2年間留学しなくとも、知識だけならばこのブログを毎日見ていれば、欧米のビッグビジネスの経営陣と対等になるようなインフラを作ります。

  MBAの知識 5 ベーシックス
  
  【 ねらっている市場は本当に魅力的か? 5つの力分析 】

 外部環境分析において業界分析をより有効なものとする手段として、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授は次の5つの競争要因分析を提案している。

 @ 新規参入の脅威
 A 業界内の競争業者の敵対関係の強さ
 B 代替品の脅威
 C 買い手交渉力
 D 売り手 (供給業者)交渉力

 この5つの競争要因が業界の投資収益率、さらに業界の魅力を決定するとしている。シンプルだが、これらを順に見ていくと、業界の収益構造の特徴や、競争のキーポイントを発見したり、将来の競争の変化を予測することができる。

 しかし、それ以上に業界の魅力や業界内の競争的地位は絶えず変化するものだという認識を持つことが重要である。

 したがって5つの力分析は一度作って終わりではない。現状認識をベースに5つの力分析を行ない、戦略を立てたならば、自社がその戦略を実施した場合、5つの力がどう変化するかを予測し、将来の分析を行っておく必要もある。

 【 5つの力分析の使い方 】

 ここでコアとなる部分は 《2業界内の競争関係》 である。

           《1新規参入の脅威》

                ↓

《5売り手の交渉力》→《2業界内の力関係》←《4買い手の交渉力》

                ↑
           《3代替品の脅威》


《 1 新規参入の脅威 》 

新規参入の脅威は、参入障壁がどれくらいあるか、参入業者に対して既存業者がどれくらいの反撃を起こすと予想されるかによって決まる。参入障壁の強さは以下のチェックポイントで確認する。

 ◎ 業界内に規模の経済性 (一定期間における絶対的生産量が増えるほど一製品あたりの生産コストは低下する) が働いているか?

 ◎ 既存企業の製品が差別化されているか?

 ◎ 企業のブランドが構築されているか?

 ◎ 巨額の投資が必要か?

 ◎ 既存企業の顧客が取引先を変えるのにコストがかかるか?

 ◎ 流通チャネル (販売網) の確保が必要か?

 ◎ 既存企業にコスト面での優位性があるか?

 ◎ 参入に対する政府の規制があるか?

  上記の質問が正しい場合、業界の参入障壁は高いことになる。参入障壁が高い場合、または、参入業者が既存企業からの強い反発を予想する場合、業界における新規参入の脅威は低いことになる。

 《 2 業界内の競争関係 》

 業界内の競争関係は、以下のポイントで確認できる。
 ◎ 同業者数が多く、同規模の会社が多いか?
 
 ◎ 業界の成長が遅いか?

 ◎ 固定コストが高い、または、在庫コストが高いか?

 ◎ 製品が差別化されているか?

 ◎ 買い手が取引先を変えてもコストがかからないか?

 ◎ 生産量を小幅に増やす時、過剰キャパシティーの状態になるか?

 ◎ 競争業者の戦略は多様であるか?

 ◎ 戦略が良ければ成果が大きいか?

 ◎ 撤退障壁が大きいか?

  上記の質問が正しい場合、業界内の競争業者の敵対関係が強いことになる。

 《 3 代替品の脅威 》

 現在の商品よりも優れた代替物に取って代られるのは長期的には最大の脅威かもしれない (ランプが電球に取って代わられた結果、趣味の世界でしか存在できなくなったように)。以下のポイントで確認する。

 ◎ 代替品が、ある製品に対して価格対性能が良くなるものであるか?

 ◎ 代替品が、高収益を上げている業界によって生産されているか?

  上記の質問が正しい場合、代替品の脅威は高いと言える。代替品が他業界によって供給されているのであれば、代替品に対抗する業界は企業連合として代替品を供給する業界に対抗していかなければならない。

業界内企業は、品質の改善、広告・マーケティング活動、製品用途の拡大など共同活動によって、代替製品供給業界に対抗することができる。

代替製品に対する対処策として、
 @ 迎え撃ち叩きつぶすという断固とした戦略、
 A 避けられない強敵として対処する戦略がある。


 《 4 買い手の交渉力 》
 買い手は値下げを要求したり、より良い製品やサービスを求めたり業界内の競争関係に影響を与える。買い手の交渉力は以下のポイントでチェックできる。

 ◎ 買い手が集中化していて大量購入するか?

 ◎ 買い手が購入する製品・サービスが、買い手のコストや購入物全体に占める割合が大きいか?

 ◎ 買い手が購入するのは標準品や差別化されていないものか?

 ◎ 買い手が取引先を替えるコストが安いか?

 ◎ 買い手が売り手の事業に進出する意図があるか?

 ◎ 買い手の購買物が買い手の製品やサービスの品質にほとんど関係ないか?

 ◎ 買い手が十分な情報をもっているか?

 ◎ 消費者の購入決定に影響力を行使できるか? (卸売業者、小売り業者の場合)

  上記の質問が正しい場合、買い手の交渉力は強いことになる。売り手は買い手を選択することで買い手の交渉力に対抗していくことができる。

 
 《 5 売り手の交渉力 》 
 売り手(供給業者)は値上げや低品質化などによって買い手に対して交渉力を行使する。買い手がコストの増加を自社製品やサービスの値上げで補えない場合、売り手の交渉力は大きな脅威となる。
以下は売り手の交渉力のチェックポイント。

 ◎ 売り手の業界が少数の有力企業からなり、買い手の業界よりも集約的か?

 ◎ 買い手の業界が売り手グループにとって重要顧客ではないか?

 ◎ 供給業者の製品が買い手の事業にとって重要な仕入品か?

 ◎ 供給業者の製品が差別化されていて、他の製品に替えると買い手のコストが増加するか?

 ◎ 供給業者が買い手の事業に進出する意図があるか?

  上記の質問が正しければ売り手の交渉力は強いことになる。また、労働力も一種の ”売り手” と考えられる。上記のようなポイントに加えて、労働力の組織化の度合いや労働力の供給が増やせるかどうかという点も、売り手の交渉力を決める要因になる。

 【 ケーススタディ 】

 ここでは、15年ほど前、規制緩和によって業界地図が様変わりした通信業界における5つの力の変化を見てみよう。

 = 規制緩和前の通信業界 =

        《 1 新規参入 》
  ◎ 規制によりほとんど新規参入なし

        《 2 業界内の競争関係 》
  ◎ 国内はNTT独占で海外は住み分け

        《 3 代替品 》
  ◎ 電話を脅かす代替品はほとんど存在せず

        《 4 買い手 》
  ◎ 通信サービスに差別化余地があることを知らず注文をつけない顧客

        《 5 売り手・供給業者 》
  ◎ 電電ファミリー業界による、価格、量ともに安定した供給


 = 規制緩和後の通信業界 =

        《 1 新規参入 》
  ◎ 国内外の企業各社が新技術をテコに続々と参入する状態

        《 2 業界内の競争関係 》
  ◎ NTTグループ内競争
  ◎ 新規参入企業
  ◎ 大手企業の既参入組で価格競争化

        《 3 代替品 》
  ◎ 無線
  ◎ 光ファイバー
  ◎ DSL等さまざま

        《 4 買い手 》
  ◎ 通信はサービス業であり、内容・価格にバリエーションがあることを知り、厳しく選択する傾向

        《 5 売り手・供給業者 》
  ◎ 旧電電ファミリー企業も生き残りのために条件交渉

 
 ( 引用: 図解 わかるMBA ) 



posted by ヒデキ at 20:40| Comment(0) | TrackBack(0) | MBAの知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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