2013年09月25日

マッキンゼーの知恵 (68)

【 著者の姉妹ブログ ”外資系つれづれ日記” に連載している記事をご紹介します。 http://nekketsuotoko.seesaa.net/

課題設定能力を鍛える

 “現象と課題を分析せよ”

 横山禎徳 (よこやまよしのり)、元マッキンゼー日本支社長、社会システムデザイナー
 東京大学工学部卒、米ハーバード大、MIT(マサチューセッツ工科大)スローンスクール等を経て、1975年にマッキンゼー入社。

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 今二つの相互連鎖が起こっている。グローバル化と、産業内の垣根の溶融だ。グローバル化は世界が日本にしみ込んでくる現象であり、「海外なんて関係ない」 という人でも、知らないうちにそのシステムに組み込まれてしまう。

 分野の相互連鎖も避けられない。スマートフォンがどれだけの産業を浸食したか。デジカメ、ゲーム、カーナビ、出版・・・数えきれないほどだ。かつて変化は10年スパンで起きたが、スマホはわずか3年で世の中を変えてしまった。

 こうした相互連鎖による世の中の変化に対し、今までの知識や経験では対応することが難しい。そこで重要になるのが、課題設定能力だ。

 皆さんは 「少子高齢化」 という言葉を使っていないだろうか。わたしに言わせれば、こんな言葉を使っているかぎり、問題は全く解決しない。

 少子化は、社会・経済学的な問題だから、政策で改善できる。実際、フランスなどは出生率を2以上まで上げることに成功した。一方、高齢化は生物学的現象だ。たとえどんなに努力しようと、われわれは1年後には必ず1歳年を取る。

 こうした因果関係のない、まったく別の問題を一緒くたにして問題にすると、有効な答えを出すこともできなくなってしまう。つまり、いかに適切な課題設定をするかが答えの質を大きく左右するのだ。

 陥りがちな 「問題の裏返し」 のわなも、課題設定を誤った結果だ。たとえば “市場シェアを回復しろ” と命令する。ところが、シェアの低下は 「現象」 であって、根本の 「課題」 ではない。

 課題は、たとえば製品の競争力の低下だったりするわけだ。

 こうした新しい思考能力の訓練の場として、2008年にはじめたのが、東京大学EMP (エグゼクティブ・マネジメント・プログラム) だ。40代の大企業中堅層など社会人を対象に、週2日、半年間の講義を行い、授業料は600万円だ。

 “45歳はキャリアの分岐点 守りの姿勢を崩したい”

 なぜ40代なのか。経営者候補の育成のためなどではない。将来的には定年年齢はさらに上がる。45歳はいわば、キャリアの分岐点だ。ギアチェンジをして、後半戦を戦ってもらいたいと考えた。

 大企業で働く優秀な40代は、すでに守りに入っている。30代で評価は決まっていて、本人が意識していなくても、その評価を傷つけないようにという姿勢になっている。それを壊してやりたい。

 初めの講義で 「あなたたちは、自分が何を知らないのかを知らない」 と私は言う。45歳で何でも知っていると思うなと。だから物性科学など、 「ツルツルの壁」 のような講義も用意してある。

 つめも引っかからないような、難解な授業。だが、それでいい。きっかけができ好奇心が広がっていく。新聞を読んだときにも、目に入ってくる。それが大事なのだ。

 EMPではプロフェッショナル論も教えている。プロの起源は聖職者で、その後、医者や弁護士に広がり、19世紀にきちんと定義づけがなされた。

 コンサルタントもプロのひとつ。私は 『 マッキンゼーの1年は世間の3年と思え 』 と言っていた。世間では10年かけてプロになればいいかもしれないが、マッキンゼーでは3年でやれ、ということだ。

 日本人の体内時計は、あまりにも遅すぎる。スピードを速めないといけない。

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 課題設定の秘訣

 ● 「少子化」 と 「高齢化」 という、別々の現象を混同した 「少子高齢化」 のような課題設定をしない

 ● 「シェアの低下」 に対し 「シェアを回復する」 といった、問題の裏返しをしない。

 ● 「自分が何を知らないか」 を自覚し、知的好奇心を刺激する。 

 ( 引用: 週刊東洋経済 マッキンゼー学校 最強メソッド&全人脈 ) 

 【 なぜマッキンゼーの人は年棒1億円でも辞めるのか 】

posted by ヒデキ at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | マッキンゼーの知恵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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