2013年09月25日

商社マンの仕事 − 三井物産

 三井物産、敗北体験や下働きを糧に商社マン育つ

 海外の病院経営や穀物生産などの新事業に挑む三井物産。強さの源泉は個性的で、我の強い個々の社員にあると業界内で評されてきた。先輩社員らは下働きに耐えつつ、顧客企業と真摯に向き合い、ニーズを深掘りすることで商社社員の真骨頂である交渉力を鍛え続けている。現場に判断が委ねられる「ヒトの三井」はこうして作られる。

 ”仕事のスケール感に醍醐味”

 入社2年目の強烈な体験が平井昭久さんを強くした。

 許されない敗北だった。ある調味料メーカーの担当になったとたん、ずっと独占していた原料供給の半分をライバル商社に持っていかれた。食糧本部糖質醗酵部の平井昭久さん(26)はこの日から別人になった。2011年、入社2年目の秋のことだ。

 震災直後ゆえにメーカーはこぞって原材料の複数購買に動いていた。ライバルはここを突いてきた。こっちもやっと仕事に慣れたころ、心のスキが生じていた。「打開策を洗い出して必ず実行しろ。後悔するなよ」。上司の喝が入り、どう巻き返すかを考え抜いた。

 そんなとき思わぬ追い風が吹く。ライバルがノンデリ(引き渡し不履行)を発生させたのだ。「何とか助けてほしい」。調味料メーカー担当者の声は上ずっていた。打開策を必死に練った後だけに準備は万全。船の手配、在庫の調整などシミュレーション通りに即応した。これが顧客に評価され、原料の供給シェアを全体の7割まで取り戻すことに成功した。

 トーマス・アルウィンさんは日本のインフラ技術を母国インドに生かす夢を抱く
 「マニュアル通り原料を届けるだけで満足しちゃダメだと痛感した。あれ以降、コストダウンの提案などを主体的に考えるクセがついた」。強烈な敗北体験が1人の商社マンを強くする。

 電力事業開発部で電力事業者のM&A(合併・買収)を担当するトーマス・アルウィンさん(26)はインドから立命館アジア太平洋大学に留学後、三井物産に入社した。「世界をまたに仕事ができる」と意気込んだが、任されるのは買収先の資産査定など先輩の手伝いばかり。「自分がどう役立っているのか見えず達成感がなかった」

 それでも腐らず帰宅後に会計や財務を学び、スペイン語のレッスンも始めた。そんな姿勢が周囲に認められ、出資したメキシコの風力発電所への出張許可が2月におりた。

 幅80メートル、高さ60メートルもの巨大な風力発電が82基も連なる。その姿にただただ圧倒された。「自分の携わった仕事はこんなに大きかったのか」。商社の醍醐味を感じた瞬間だった。

 4月からM&Aに必要な資金調達に関する業務も担当、銀行とのやり取りを任されるようになった。日本のインフラ技術を母国に生かす夢の実現はまだ遠いが、商社マンとして一歩一歩前に進んでいる。

 ”幹部の鋭い指摘に学ぶ”

 鉄鋼製品本部の関口直央さん(25)は3月まで2年間、本部長の頭脳となる業務部で会議議事録など資料づくりを地道に続けてきた。ある投資案件を審査する会議で書記を務めていた時のこと。「提携相手のワンマン経営者が20年後に亡くなったら我々との関係はどうなるんだ」。経営幹部の鋭い質問に圧倒された。

 幹部はどんな指摘をするのか。定量的な収益計画だけでなく、定性的な投資意義をどうプレゼンすればいいのか。「現場が提案した投資案件がどういう会議体を経て承認され、会社の意思決定がどのように進むのかよくわかった」

 4月から悲願の営業現場に配属され、油井管のインド・パキスタン担当となった。両国の政府系エネルギー会社の入札に繰り返し参加し、6月に初成約を勝ち取った。今はまだ業務部で得た経験を生かすチャンスはないが、その日は必ず来ると信じている。

 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 

 商社、貿易業務を再評価

 総合商社は三菱商事、三井物産などの大手5社に豊田通商、双日を加えた7社で構成する。収益の源泉はかつての貿易業務(トレーディング)から事業投資に移っている。

 ただ、投資ばかりだと、産業界のニーズを読み取り新事業を生み出す力が低下しかねないため、最近は顧客に密着するトレーディングを再評価する動きも出ている。

 三井物産は天然ガスなどエネルギー・資源分野では有望な権益を多数保有する。足もとの収益も資源の依存度が高く、今後は非資源分野のテコ入れが課題だ。総合商社で唯一手掛けている海外での病院事業は打開策の一つといえ、事業の成長力は他部門を圧倒する。そのほか海外での食糧生産・集荷事業も注力分野と位置付けている。

 (引用: 日経産業新聞 ) 

 【 総合商社図鑑 未来をつくる仕事がここにある 】


posted by ヒデキ at 07:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 商社マンの仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

この記事へのトラックバック