2013年03月21日

ポスト資源高の総合商社 A

 資源高の追い風が弱まり、好業績が続いた総合商社が転換期を迎えている。資源投資ラッシュは2012年までに一服。代わって食料など非資源分野で世界ブランドを取り込もうとする巨額買収が相次ぐ。

 資源価格の高騰という 「怪物」 は、巨万の富をもたらす裏側で、いつしか商社の根幹をむしばんでいた。失われつつある現場感覚、牙を抜かれる人材。だぼはぜのようにどん欲に商いを求める商社マンは、もはや過去の遺物なのか。商社がいどむ未来を追う。

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 「ミツイ・オン・ザ・ムーン」。三井物産の高荷英己イノベーション推進室長は2012年9月、米カーネギー・メロン大教授の研究室で、スクリーンに映ったメッセージに面食らった。

 「月探査計画に200万ドル出資しないか」。クレーター内部の探査に情熱を注ぐ教授から唐突にこう誘われたのだ。

 米航空宇宙局 (NASA) では客員科学者の助言が常識を超えていた。
「火星手前の隕石 (いんせき) 群に眠るぼう大なプラチナを三井物産が取りに行けばいい。」
 
 次世代事業の創出を担う高荷氏らは欧米中心に約50の先端研究機関などを半年かけて訪問。米グーグルでは新事業担当副社長に 「グーグルの事業の本質がネット技術を使った困りごとの解決なら、われわれが様々な業界の案件を持ってくる」 と提携を持ちかけた。

 貿易取引から事業投資へビジネスの主軸を切り替え、幾度もの不要論を乗り越えてきた総合商社。大手5社合計の純利益は2012年3月期にピークに達した。だが、その後の資源価格下落では 「今後3年は減益傾向が続く」 との見方もある。

 各社は新たなビジネスや経営の形を真剣に模索し始めた。

 “グループ憲法”

 三菱商事が2012年9月に開いた社長室会では、2年越しで練り上げたグループの 「憲法」 が承認された。合わせて70ページを超す 「企業運営の基本ポリシー」 と具体的な運用ガイドライン。経営理念から人事、経理・財務、 ITなどの諸制度、業務ノウハウまで共有すべき内容を網羅する。

 投資拡大で1,200社に膨らんだ関連会社を本社が直接経営するのはもはや不可能。本社は機能や権限を各部門に委譲し、各社が自立し連携し合える経営基盤づくりを進めてきた。

 ¬¬¬今後は憲法を使って価値観を共有し、 「個別最適の 『集合商社』化を防ぐ」 (三菱商事首脳)。

 組織力の再構築、なかでも人材戦略は各社共通の生命線だ。双日は2012年10月、 「CEO育成プログラム」 を始めた。各部門がエース社員を1人ずつ選抜し、関連会社の経営中枢に2年近く出向させる。出向先を出身部門以外に限ることで専門知識に限らない 「経営のプロを育てる」 (西原茂執行役員)。

 三井物産も 「道場人事」 と呼ぶ部門間の異動に積極的だ。主に資源部門が他部門の人材を受け入れ事業投資ノウハウを伝授している。

 食料本部でアジア戦略を担当する竹嶋大治氏は、金属資源本部で習得した出資先の管理手法を中国戦略などに生かす。

 住友商事は2012年8月、東京・銀座の研修センターに10人超の役員を集め、同社初の本格的な合宿会議に臨んだ。 「部門の壁を越えて会社の課題を抽出せよ」。会社のあり方をゼロベースで再考しようとする中村邦晴社長は本質論を求め、活発な議論にじっと耳を傾けた。

 三井物産も同時期に自由討議形式の経営会議を初めて開催。10年後の商社像を探る議論が熱を帯びる。

 三菱商事の社外取締役を務め、商社経営に詳しい一橋大学の伊藤邦雄教授は 
「経営人材の輩出力、海外の相手との交渉力、儲ける力は他産業に比べて断トツ」 と分析する。

 3つの力を振り絞り時代の商社モデルを創造できるか。経営者の腕の見せどころだ。

 ( 引用: 日本経済新聞 ) 

 【 日本の7大商社 世界に類を見ない最強のビジネスモデル 】


posted by ヒデキ at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 商社の不思議 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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