2013年01月09日

商社の不思議 (6)

 大手商社社長が語る

 伊藤忠商事、岡藤正広社長 − “ 強みの中国と生活消費を伸ばし、管理部門の縮小で反転攻勢 ”

 − 過去10年を総括すると? 
「 他商社と同様、疲弊したバランスシートの修復のため、管理部門を強化した10年だった。しかも、当社は管理部門によるブレーキが商社の中で最も厳しいものになった。

 収益で財閥系との差が開いた理由は、2000年代中盤からの資源の高騰にある。当時、伊藤忠はアクセルを踏める状況にはなかったが、2007年〜2008年は、攻勢に出るべきだった。 」 

 − 今後の経営戦略は?

 「 先の10年で体力もつき、これから思い切ってアクセルを踏み込む。資源で高騰した昨今、今から大きな収益を上げるのは難しい。安く買い、高く売ればもうかるが、今はそうではない。一方、資源には限りがあり、持つこと自体が強みでもある。

 今の収益権益は豪州や南米に偏っているが、今後はさまざまな資源が眠るアフリカで投資したい。
短期的には当社の強みをさらに伸ばす。中国と生活消費ではトップ商社だという自負がある。リスクはあるが、中国市場を否定するという選択肢はありえない。 」 

 − 人材育成への取り組みは?

 「 攻めの経営に転じるにあたり、車のブレーキに相当する管理部門を縮小させる。管理部門は大事だが、アクセルあってのブレーキだ。今の学生は安定志向といわれるが、自由に思いっきり働きたい若者も多い。

 財閥系商社は組織力中心。個々の社員が自由に働く当社のよさを広め、非財閥系商社を選ぶ学生を増やしていく。 」 

 − 他商社の注目案件は? 

 「 まずは2008年の丸紅のチリ銅山への投資。リスクはあったが、大きな収益源となった。近年まれに見るヒット事業だ。もう一つのヒットは三菱食品を誕生させた三菱商事による食品卸統合のM&A戦略だ。 」 

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 丸紅、朝田照男社長 “ 資源4割のバランスを維持 既存分野での優位性を追求 ”

 − 過去10年を総括すると?

「 2001年には当社は存亡の危機にあった。その断崖絶壁の状態から、選択と集中を繰り返し、足腰を強くしてきた。2008年のリーマンショック後、当社を含む商社が他の業界よりも速いスピードで回復できたのは、間違いなく中国の成長が背後にあったからだ。

 中国の経済力が、あらゆるビジネスの規模をふくらませ、貿易を加速し、資源の高騰をもたらした。当社はその旺盛な需要を軸に、従来の単発の取引からバリューチェーンへとビジネスモデルを転換させた。この変化が、過去10年間の大きな飛躍につながっている。

 − 今後の経営戦略は?

 「 財務体質は改善され、投資基準などの内部統制が整った。もちろん投資は積極的に行うが、新規事業にやみくもに投資せず、既存の強い分野で優位性を高め、規模の利益を追求する。

 当社は収益に占める資源の割合が4割で、他商社と比べて低いが、バランスが大事だ。資源価格は新興国の成長が下支えし、今後も大暴落はないが、当社は今の収益構造を維持しながら、新興国で投資を加速させる。アフリカの優先順位は、まだ高くない。 」 

 − 人材育成への取り組みは? 

 「 特に30代前半の、今活躍してほしい年代の人材が不足している。今後は新人の採用数も現在の100人程度から増やす考えだ。自ら手を挙げてなんでもやろうという、チャレンジ精神のある若者が欲しい。 」 

 − 他商社の注目案件は?

 「 投資に関して積極的に映るところもあれば、最近おとなしいと感じるところもある。ただ、印象に残っている案件は特にない。 」 


posted by ヒデキ at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 商社の不思議 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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